HOME > 診療項目 > 美容研究開発資料

美容研究開発資料

さかえクリニックの美容研究開発資料

第98回 日本美容外科学会 発表演題

Fractional Laser(フラクショナルレーザー)治療の最近の知見と工夫
抄録
目的 最近、国内でもフラクショナルレーザーを使用したSkin Rejevination治療、アクネ痕治療、外傷痕治療が盛んに行われてきている。
これまでのフラクショナルレーザー治療では、IPL治療に比較してDown time を考慮する必要があったが、今回、我々は、Down timeの短縮と治療効果向上さらには患者の術後の疼痛を軽減する目的でコンビネーション治療と施術後ケアを導入し検討を加えた。
方法 Random Sprayed Beam Systemを採用したフラクショナルレーザー治療システム Sellas Evoによる治療直後にGrowth Factorを含んだ製剤であるBENEVの導入とCryocellを使用したCryoElectrophoresisによるコンビネーション治療を行った。
結果 フラクショナルレーザー治療の効果を向上させるのみならず、Down timeの短縮、施術後疼痛の軽減が得られた。
考察 創傷治療過程と最近の創傷治療理論に基づいたGrowth FactorであるBENEV GF Complexを導入するコンビネーション治療とCryoElectrophoresisを使用した術後ケアはフラクショナルレーザーの治療効果のみならず Down timeをも短縮し患者への負担を軽減する優れた手技であると考えられる。
今回、我々は、フラクショナルレーザー治療において創傷治癒過程を充分考慮した手技とシステムを使用することで効率のよい皮膚再生を促す結果が得られた。
Abstract
Objective Skin rejuvenation and treatment for acne and trauma scars using fractional laser have recently become frequently used in Japan as elsewhere.
Fractional laser treatment has heretofore required greater consideration of downtime than intense pulsed light (IPL) treatment, but the authors implement and discuss combination therapy and postoperative care intended to shorten downtime and improve treatment effectiveness as well as reducing postoperative pain in the patient.
Method Treatment using a Sellas EVO fractional laser treatment system employing a random sprayed beam system was followed by combination therapy implementing a Benev product containing growth factor and cryoelectrophoresis using Cryocell.
Results: Not only was the effectiveness of fractional laser treatment improved, but downtime was shortened and postoperative pain was lessened.
Findings Combination therapy implementing a Benev GF Complex serum that contains growth factor and postoperative care using cryoelectrophoresis, based on the course of wound treatment and in keeping with recent theory on wound treatment, appears to be an excellent procedure that not only yields the treatment effectiveness of fractional laser, but also shortens downtime and alleviates patient burden.
In this instance, the authors obtained results showing promotion of highly efficient skin rejuvenation through use of a procedure and system of fractional laser treatment that give adequate consideration to the course of wound healing.
さかえクリニックのフラクショナルレーザー治療

GF-Haircare_Complex

GF-Haircare Complex Technology

GF-Haircare Complex は、BENEV化学者チームと、成長因子のアンチエイジング効果を広範囲にわたり調査してきたカリフォルニア大学の科学研究者たちが、高度な幹細胞技術をもって作り上げた画期的な育毛剤です。
GF Haircare Complexに含まれる成長因子は、ヒト線維芽細胞培地(濾過され条件の整えられたもの)から得られたもので、その培地はカリフォルニア大学アーバイン校付属の組織バンクにある包皮幹細胞から、十分に立証されたプロセスを用いて生成されています。
乳児包皮は最も豊かな前駆細胞組織です。一度細胞を取り出しそれを培地に入れれば、そのプロセスを繰り返す必要はありません。
プロセスは、包皮から幹細胞を取り出すことから始めます。その組織を、成長するのに必要な栄養環境がそろえられた培地に入れ、皮膚と同じ環境にいると細胞に信じ込ませることで、皮膚線維芽細胞のように繁殖させるのです。

GF- Haircare Complex Technology

課題は、細胞が成長できる濃縮培地を供給することです。BENEVのヒト線維芽細胞培地は、特許出願中の最先端技術によって作り出されました。
培地を精製する上での課題は、特別な機械を使い全種類の細胞を吸い上げることで対処されました。レーザーがあらゆる方向からビームを送り細胞の生存能力を見極め、その細胞の良し悪しを選別します。
タンパク質はすべて荷電タンパク質であり、特定の分子量を有しています。
細胞の生存能力は、成長因子細胞が複製する回数を制限することによって常に保たれています。細胞は老化するまでに32回まで複製することができますが、クオリティーを保つためにBENEVは16回までに制限しています。 

BENEV GF-Haircare Complex

GF-Haircare Complexは、頭皮と毛包の健康を促進することによって作用します。脱毛に悩む人の40%は、不健康な頭皮が原因で毛髪を失っています。
成長因子は肌に良いと証明されており、同時に頭皮にも効果があります。 成長因子は毛包まで届いて修復機能、免疫機能、血流と成長を刺激し、健康な頭皮・毛髪へと導きます。
毛包が既に死んでしまっている場合、GF-Haircare Complexがそれを生き返らせることはできませんが、頭皮の下の幹細胞を刺激し、新しい毛包の成長を促進することができます。 

BENEV Difference

ミノキシジル(血管拡張剤)は毛包への血液供給を増やすことによって作用しますが、問題は、この高価な治療は一生続けなければならないものであるということです。結果が見え始めるまで6カ月かかり、もし使用を止めてしまうと毛髪はまた抜け始め、最初からやり直さなければなりません。
フィナステリド(商品名プロぺシア)は、毛包にダメージを与えることで知られる男性ホルモン、ジヒドロテストステロン(DHT)をブロックします。しかし、男性なら誰もが体の中でDHTが作られますが、全ての男性が脱毛を経験するわけではありません。脱毛の原因となる要素は多々ありますが、頭皮が不健康な人は、頭皮が健康な人よりも、DHTの影響を受けやすいということです。フィナステリドには好ましくない副作用も多々あります:気分のムラ、発疹、インポテンス、性欲の喪失などが挙げられます。
BENEV GF-Haircare Complexは、副作用も依存性もありません。

Preliminary Study
さかえクリニックのグロスファクターBENEV

BENEV-GF - Press release

FOR IMMEDIATE RELEASE
May 1, 2008
Contact: Stephanie Smith
stephanie@BENEV.com(509) 685-0249
Restore Youthful Skin with Growth Factor Biotechnology
NEW Growth Factor Complex Serums from BENEV®
Mission Viejo, CA—BENEV® announces the release of three new skin serums based on the latest biotechnological research into the skin healing and anti-aging effects of growth factors: Growth FactorRejuvenating Complex, Growth Factor Brightening Complex, and Growth Factor Body Care Complex.
These concentrated serums are designed to be used with electroporation, inotophoresis, and transepidermal delivery systems that include topical applications so that the complexes penetrate deeply into the skin for maximum interaction with skin cells.
Growth factors are natural proteins abundant in young, healthy skin that nourish skin cells and keep them active, regulating repair and renewal processes. They are involved in cell generation, collagen production, and elastin production.
These functions help keep skin taut, firm, and smooth. As skin ages or suffers photo-damage from sun exposure, it produces fewer growth factors, loses elasticity, and develops wrinkles and discoloration.
Now, advances in biotechnology have made it possible to produce growth factors in a laboratory and stabilize them for topical application.
BENEV® Growth Factor Complex serums all contain epidermal growth factor and fibroblast growth factor to replenish the skin’s supply of these crucial proteins and fight visible signs of chronological and sun-induced aging. Epidermal growth factor helps encourage new skin cell generation, which slows down as skin ages, to replace dull, aging, wrinkled skin with a more youthful, smooth, radiant complexion.
Fibroblast growth factor helps to increase the production of fibroblasts, which synthesize collagen and elastin for firmer, more resilient, youthful skin. Fibroblast growth factor also aids in blood vessel formation, which is beneficial for healing damaged skin cells and improving circulation of nutrients and oxygen for visibly healthier skin.
• Growth Factor Rejuvenating Complex is designed to diminish the appearance of fine lines and wrinkles, increase firmness and elasticity, and restore a youthful glow to skin.
• Growth Factor Brightening Complex is designed to treat pigmentation problems such as uneven skin tone, age spots, and sun spots with aminoethylphosphinic acid, which helps inhibit melanin production.
• Growth Factor Body Care Complex is designed to diminish the appearance of stretch marks and increase skin firmness and tone. Contains green bean extract, methylsilanol hydroxyproline aspartate, and rutin to smooth stretch marks.
About BENEV Company, Inc.
BENEV is committed to serving medical skin care professionals around the world by developing scientifically advanced, effective solutions that promote optimum skin health.
All BENEV products are developed in our FDA-approved drug manufacturing facility with stringent quality control to ensure safety and efficacy. Available only through physicians. For more information, call 1-888-43-BENEV or go towww.BENEV.com.
For more information, please contact Stephanie Smith, BENEV marketing, at 509-685-0249, orStephanie@BENEV.com.
BENEV Company Inc.
23263 Madero, Suite A, Mission Viejo, CA 92691, USAwww.BENEV.com
949-457-2222, 949-457-2221, fax
Progressive Skin Science™  



日本美容外科学会誌

美容外科における創傷治療法
Methods of Wound Treatment in Cosmetic Surgery


末武信宏*、森田有紀子*、加治佐知子**
*さかえクリニック
**順天堂大学医学部病院管理学
Nobuhiro Suetake,M.D. *, Yukiko Morita,M.D. *, Tomoko Kajisa,M.D.**
*Sakae Clinic
**Department of Hospital Administration, Juntendo University School of Medicine




近年の美容外科手術の目覚しい進歩においても縫合創や手術創への創傷ケアの重要性はこれまで議論されることは少なかった。一般外科以上に創傷ケアに関する知識と手技を美容外科医は要求される。近年多くの創傷被覆剤も使用されているが、その基本的な使用法、創傷ケアに関する手技について考察を行う。
多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)は、遠心分離によって血小板が濃縮された血漿であり、血小板から放出される各種サイトカイン、Growth Factorの生理活性と、フィブリン・血小板糊の組織接着・創傷被覆効果が期待され、再生治療や創傷治癒の側面からの臨床応用が試みられている。今回我々は、美容外科領域の創傷ケアにもPRP療法を応用し、良好な結果を得たので報告する。


Key words:gauze dressing, sterilization, moist wound healing, platelet rich plasma, wound dressing



緒言


近年美容外科手術が目覚しく進歩している一方で、縫合創や手術創における創傷ケアの重要性はあまり議論されていない。一般外科医の間では、旧来の消毒とガーゼを用いた創傷治療が行われているようであるが、創を治癒させるには湿潤環境を保つことが必要であり、現在の創傷治療は、創傷被覆材等を用いたウエットドレッシング療法が主流となってきている。美容外科医は、一般外科医以上に創傷ケアに関する知識と手技を要求されるため、創傷治療についても習熟する必要がある。

今回我々は、従来の創傷治療を見直し、新しい創部へのアプローチを行い良好な結果が得られたので、基本的な創傷治癒理論を踏まえた上で最近の創傷治療法について、具体的な手技とともに紹介する。




本論

1)創傷治癒理論


創傷治療は、外傷でも術後の縫合創でも術後の感染や壊死などのトラブル治療においても基本は同じである。創傷治癒過程を細胞培養になぞらえて考えると、細胞を培養する際には細胞を培養液中に入れ湿潤環境を保つことが必要であるように、創傷が治癒する過程においても、培養液に相当する組織液が重要であり、創部を乾燥させてはいけないことが分かる。

外傷でも術後の縫合創でも感染が認められなければ、創部を閉鎖された湿潤環境に保持することが望ましい。組織液の中には創傷治癒を促進させる各種サイトカインや細胞成長因子が多く含まれている (図1.湿潤療法)。創部へガーゼを直接当てることは、傷を乾燥させることにほかならず、創傷治癒過程を妨げる行為である。従来、多くの外科手術で縫合創へのガーゼやソフラチュールⓇを当てる行為は当然のごとく行われてきたが、創傷治癒の過程を考えた場合、これらの行為は無意味であるどころかかえって創傷治癒を遅らせることとなる。更に、乾いたガーゼが創面に固着するため、処置をする度に出血させ患者に疼痛を与えることにもなり有害である 。

ひとくちに創傷といっても、縫合創と皮膚欠損創では治癒の仕方が異なる。縫合創は、コントロールされた創であり、一次治癒過程をとる。縫合後、すぐに血小板が活性化され各種サイトカインが放出され止血とともに好中球、マクロファージの遊走が創部へ起こる。48時間以内に上皮化が起こり72時間以降、毛細血管の増殖が起こる (図2.縫合創の治癒過程)。更に、皮膚欠損創も創の深さによって異なる治癒過程をとる。浅い皮膚欠損創では毛包と創縁の皮膚の双方から上皮化が起こるため治りが早いが、深い皮膚欠損創では肉芽が形成され周囲の皮膚から上皮化が起こるため治癒するまでに時間を要する。


2)消毒の功罪

創部が感染している状態(infection)と創部に細菌が存在している状態(colonization)は異なる。

創部が小さく見えてもInfectionに対しては直ちに、感染症の治療が必要となるが、創部が広範囲でもColonizationの状態なら感染症治療は不要であり、消毒をする必要もない。創が感染しているかどうかは、いわゆる炎症の四徴候(発赤、疼痛、局所熱感、及び腫脹)の有無で判断する。滲出液が出たり、黄色の壊死物質が創部に付いていても感染を起こしていない場合も多く、適切な診断が重要である。

縫合創や壊死に陥った手術創への消毒は原則として不要である 。創感染を防ぐためには、むしろ創面から壊死組織などの感染源を除去する、ドレナージやデブリードマンのほうがよほど重要である。消毒をしても感染源が除去される訳ではなく、消毒には感染予防効果はない。

また、消毒薬は選択的に細菌を殺菌しているわけではない。人の細胞と細菌を比較した場合、細菌は莢膜に覆われており消毒に対して人の細胞よりも抵抗性を示す場合がある。すると、創に消毒をしても細菌は死滅しないにも関わらず、人の細胞だけが傷害され、創傷治癒が遅延することとなる。

消毒薬は、生体に対して必ずしも有用ではない。クロルヘキシジン(ヒビテン® ,ヘキザック®)の使用によりアナフィラキシーショックを起こした症例も報告されており 、またポビドンヨード(イソジン®)も接触性皮膚炎を起こす率が高い 。

特に創部への消毒は、リスクがあることを美容外科医は認識すべきであり、術後の縫合創への消毒は消毒のメリット、デメリットを正しく理解して考慮すべきである。習慣的に縫合創への消毒を行ってはいけない。理由がない消毒は縫合創治癒の遅延と患者への痛みをもたらすだけである。縫合前、手術創に広範囲消毒を行う美容外科医も存在するが、消毒の組織障害性により感染が惹起されることもありうる。創面への消毒は有効な感染予防にも創傷治癒を促進するわけでもない。



症例

1)積極的な創傷治療法であるACR(Autologus Cell Rejuvenation)療法を行った症例を紹介する。62歳、女性。腋の脱毛治療後、熱傷を起こした症例。患者自身でスプレー式の創を乾かす市販の消毒薬を使用したこともあり、感染が起こり4㎝×7㎝の壊死を伴う潰瘍を形成していた。


まず、壊死組織をデブリードマンしたうえで、ACR療法を行った。自己血液を16ml採取し3000回転で8分間遠心分離してRegen社のキットを用いて多血小板血漿(PRP:Platelet Rich Plasma)を作成した(図7,8.PRPの実際)。作成したPRP 3ccを創底部および創縁へ33Gの針で注射し、創傷被覆材であるバイオクルーシブで閉鎖した。48時間閉鎖療法を行い、術後3日目には被覆材を張り替えた。その後順調に創は縮小し、施術後25日目には完全に創は上皮化した。

この間、通常通り入浴させ、施術3日後より毎日、創面をシャワーでよく洗浄するように指示しており、消毒は一切行わず、ガーゼを創部へ直接当てていない。


2)上眼瞼の切開創の縫合を行った症例。26歳、男性。縫合部をアルギン酸塩被覆材であるカルトスタットⓇを乗せ、ポリウレタンフィルムドレッシング剤であるオプサイトⓇで覆った。翌日の創には痂皮形成を認めず、創縁は完全に一致している。縫合5日目、抜糸後には上皮化が完了した。

3)他院で行われた小陰唇形成手術の再手術の症例(図10.症例3)。33歳、女性。術後縫合部にカルトスタットⓇを乗せた。これにより創部からの止血が可能となりすぐに溶解して縫合部位が湿潤環境となる。患者には毎日、創部へワセリンを塗布させ乾燥を防ぐように指示した。翌日から入浴可能としたが、術後の痛みは無かった。1週間後、抜糸直後には創部は完全に上皮化し痂皮の形成も認めなかった。




考察

多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)は、遠心分離によって血小板が濃縮された血漿であり、血小板から放出される各種サイトカイン、Growth Factorの生理活性と、フィブリン・血小板糊の組織接着・創傷治癒促進効果が期待される , 。血小板は、epidermal growth factor (EGF), transforming growth factor-beta (TGFβ), vascular endothelial growth factor (VEGF), やplatelet-derived growth factor(PDGF)などの各種の成長因子や数多くのサイトカインを放出する (図11.創傷治癒におけるネットワーク)。PRPでは、末梢血に比べて血小板が約2~6倍に濃縮されているが、白血球や各種成長因子も約2~6倍に濃縮される ため、これにより傷の治癒が促進されることが推測される。また、PRPには、血小板成長因子の生理活性のみならず、血小板による止血作用、フィブリン・血小板糊による組織接着作用、抗炎症効果による皮膚瘢痕抑制の効果が期待されており 、美容外科領域においても応用できる可能性が高い。これまで症例1のような広範囲の皮膚壊死の治療には植皮術も考慮しなければならなかったが、このPRP療法でも植皮術と遜色ない短期間で創は上皮化して治癒しており、十分治療法の選択肢となる。同様に、脇臭症の手術後の皮膚壊死の治療にも漫然と消毒を繰り返したり、植皮を行うのではなく、適切な創傷治療を行えば患者への日常生活制限もほとんどなく短期間で創傷治癒が得られる。

症例2および3で使用したカルトスタットⓇは、海草のコンブから抽出されたアルギン酸塩を繊維状にして不織布にした創傷被覆剤である 。アルギン酸は自重の15~20倍の水分を吸収し,浸出液などのナトリウムイオンを含む水分を吸収するとゲル化するため、このゲルが創面の湿潤環境を保つ働きをする。ゲル化する際にカルシウムイオンを放出することで極めて強力な止血効果を有するという特徴がある。これらのことから、この被覆材は術創以外でも出血を伴う創の治療に適しているといえる。本症例のようなドレッシング困難な手術部位でも被覆剤を使用すれば効果的な止血、創傷治癒が得られる。縫合創のケアとしてはアルギン酸塩被覆材とフイルムドレッシング材のみで十分であり、ガーゼやソフラチュールは不要である。

美容外科医は、縫合創への消毒、ガーゼ、入浴制限など従来のケア法に大きな誤りがあることに気づくべきである。手術の手技の鍛練のみならず縫合創のケアもしっかり行う必要がある。我々が考える手術創のケアのポイントとしては、まず血腫や死腔を作らないよう適切なドレナージと圧迫を行うことである。皮膚を縫合する前に創内を消毒しないことと、ガーゼやソフラチュールⓇを直接、縫合創へ当てないことも重要である。無論、術後の縫合創にも消毒はせず、48時間以降は入浴により創部を洗浄して清潔にしている。

また最近では創傷治療に関する考え方や手法が一変しており、有用な創傷被覆材 も数多く存在し、その使用法に習熟する必要がある。今後、正しい創傷治療法が広く普及し、その恩恵を受ける患者が増えることを願ってやまない。


Methods of Wound Treatment in Cosmetic Surgery
英文抄録(200語以内,149語)
Even with the remarkable strides made in cosmetic surgery in recent years, the importance of care for suture and surgical wounds has received little discussion. Cosmetic surgery requires greater knowledge and techniques for wound care than in general surgical procedures. Many wound-dressing materials have now come to be used; this discusses the fundamental usage methods and techniques of wound care.
Platelet-rich plasma (PRP) is an autologous concentration of platelets and growth factors, such as epidermal growth factor (EGF), transforming growth factor-beta (TGF-beta), vascular endothelial growth factor (VEGF), and platelet-derived growth factor (PDGF). Increase of the wound repair rate by local application of a PRP solution has been reported. Its efficiency is proved in the domain of surgery, for treatment of severe burns and for the transplantation of cells and tissues. In this study, we applied this PRP treatment to wound healing in cosmetic surgery and great effectiveness was proven.



参考文献


倉本秋.ドレッシング 新しい創傷管理.東京:へるす出版,1995:76-81.
夏井睦.創傷治療の常識非常識。消毒とガーゼ撲滅宣言.東京,2004:21-22.
森口隆彦.TEXT形成外科学.東京:南山堂,1995:20-24.
小野一郎.創傷の治療 最近の進歩.東京:克誠堂,1993:92-95.
Kirsner RS, Eaglstein WH. The wound healing process. Dermatol Clin 1993 ; 11: 629-40.
Field FK, Kerstein. Overview of wound healing in a moist environment. Am J Surg 1994; 167: 2S-6S.

水原章浩.傷の正しい治し方 PART 2 そこが知りたいラップ療法実践編.東京:金原出版,2005:9-26.
加藤延夫.医系微生物学第2版.東京:朝倉書店,1997:8-13.
今沢 隆、小室 裕造、井上 雅博ほか.グルコン酸クロルヘキシジン使用後にアナフィラキシーショックを起こした1症例. 日形会誌2003;23:582-588.
中田土起丈.医療用外用薬による接触皮膚炎.アレルギーの臨床2005;25:1086-1090.

Rozman P, Bolta Z. Use of platelet growth factors in treating wounds and soft-tissue injuries. Acta Dermatovenerol Alp Panonica Adriat 2007; 16: 156-65.
Creaney L, Hamilton B. Growth factor delivery methods in the management of sports injuries: the state of play. Br J Sports Med 2008; 42: 314-20.

小野一郎.創傷治癒におけるサイトカインの役割とその臨床応用の可能性.形成外科1998;41: 909-916.
Eppley BL, Pietrzak WS, Blanton M.  Platelet-rich plasma: a review of biology and applications in plastic surgery. Plast Reconstr Surg 2006; 118: 147e-159e.
緒方寿夫、矢沢真樹、中島龍夫.多血小板血漿糊を利用した創傷治癒促進とscarless wound healing.PEPARS 2007;16:37-46.
美濃良夫.褥瘡のすべて.東京:永井書店,2001:111.

五十嵐敦之.創傷被覆材をどう使うか.Derma. 2007;132:121-127.



PRP療法の将来と展望

驚異の再生医療 PRP療法
あのメダリストが蘇った!


国内における唯一のアスリートへのPRP療法の臨床研究機関として私どもは現在、順天堂大学医学部と研究を進めています。
日本の政府や再生医療を進める団体は再生医療の研究を「細胞移植・組織移植により、これまで不可能であった変性疾患の根治を目指した革新的医療技術である」。と定義しています。つまり 使えなくなったり、老化したりした体の一部を、「再生」させて蘇らせようという医療のことで、例えば、火傷で傷ついた皮膚の代わりに、人工皮膚や自分の皮膚を培養した物を使ったりする治療や、白血病患者さんに骨髄移植したりする治療が有名です。つまり自分自身の細胞や他人の細胞、あるいは他の動物の細胞に対し、細胞の外から何らかの工夫を加えてその細胞の持っている能力を身体の中で発揮させ、機能を回復させる治療法です。


再生医療の最新の動き
文部科学省は、これまで禁止されていたヒトES細胞、ヒトips細胞およびヒト組織幹細胞から生殖細胞を作成する研究を解禁しました。これにより京都大学の中山先生などによる先進的な研究が、各大学、研究機関で進んでいます。ヒトES細胞等を分化させて生殖細胞を作成することが可能になれば、生殖細胞の成熟・分化機構の検討が可能となり、多くの疾患の原因解明や新たな診断・治療方法の確立につながります。

再生医療とPRP
自己細胞を利用した組織再生と若返り・創傷治療を行う方法に自らの血小板を用いたPRP注入療法があります。PRPとはPlatelet Rich Plasma (多血小板血漿)の略でこの治療法は自分の血小板の濃度を高めて使用することから正式には多血小板血漿注入療法と呼ばれています。


この治療は自分の血液から採った血小板を使うため拒否反応がなく、ウイルスの感染などの心配もない安全な方法です。PRP注入療法による組織の若返りやしわの軽減などの美容分野への応用は2006年に日本で初めて開発されました。
国内では美容では大きな臨床的実績があります。 
血小板な血液中に含まれる細胞の一つです。血液は血球と液体成分の血漿からなり、血球には赤血球、白血球、血小板があります。赤血球は約120日生存しますが、血小板は約7日ほどです。血小板は直径2μと赤血球、白血球などに比べて小さく、数も血球全体の1%程度です。


血小板は
1つは止血効果、2つめが創傷治癒効果の2つの働きを持っています。


血小板を利用した治療の歴史

血小板を用いた治療はアメリカ・マイアミ大学の外科医であるロバートマークス博士らが中心になり1990年ごろから始められました。マークス博士は著書の中で「1990年代の初めから今日までに、血小板に含まれる増殖因子は創傷治癒の驚くべき力を持っていて、血小板がすべての人間の創傷治癒を開始する重要な細胞であることが発見された」と述べています。

血小板がなぜ傷の治療や若返りに効果があるのか。

血小板は、内部の貯蔵類粒を特っていて、貯蔵顆粒は3種類の顆粒、(1ysosoma1顆粒、dense顆粒、alpha顆粒)から成り立っていて、alpha顆粒には増殖因子の貯蔵がされています。 血小板は血管中を循環している間は休眠状態(不活性)ですが、傷が出来ると活性化し、まず止血のために凝固を促進し、そして傷の治療の為、組織修復に必要な増殖因子を放出します。


血小板から放出される増殖因子にはそれぞれ役割を持った次のようなものがあります。

1. 血小板由来増殖因子

2.トランスフオーミング増殖因子

3.血管内皮増殖因子-VEGF

4.上皮増殖細胞-EGF


5.繊維芽細胞増殖因子-FGF


PRP療法とそのメカニズム


PRP療法は血小板が持っている、傷を治し、組織を修復し若返らせる力を、増加、加速促進させます。高濃度の血小板(PRP)を作り、創傷治癒をさらに促進させるように働かせます。そのためには高濃度の血小板の採取とその活性化が必要です。
大きな治療効果に必要な血漿の血小板数については色々な意見がありますが通常の血小板数の4~7倍で臨床上効果があると言われています。

人の血液中の血球は普通、血小板が1%程度です。PRPは血小板の濃度が約94%~96%で残りは少しの赤血球と白血球です。血小板の数を増すことで、治癒に有用な影響を及ぼす増殖因子の作用を強めるのがPRPの使用の意義です。



PRPはどのように機能するのか

PRPの作用は血小板中のα顆粒が放出する成長因子によります。これらの成長因子の放出は、凝固反応の過程で開始され、凝固開始後10分以内に始まります。その時点で合成されていた95%以上の成長因子は1時間以内に放出さます。
ほとんどの成長因子と同じように血小板中のα顆粒中の成長因子は働き出すまでには一定の過程が必要で、その過程で生物的活性を持った完全なものとなります。

PRP 製作には遠心器を使用し、清潔下で行われ、血小板を赤血球やその他の成分から高速化で分離、しかも血小板を壊したり傷つけないように抽出します。


PRPの若返り、創傷治療、組織障害への応用の実際と症例

PRP注入による皮膚組織の若返り治療法は自己の細胞を利用するため、この療法を自己細胞による若返りを意味するACR療法(Autologus Cell Rejuvenation,)です。

ACR療法(PRP注入療法・多血小板療法)は2つ目の、血小板が傷を治す効果を応用した治療法で、肌全体の若返りや傷ついた組織の修復を図ります。しかも自らの血液を20cc程度利用するのみで、副作用もアレルギー反応もありません。効果には個人差がありますが、約1~3ヶ月程度かけて肌状態の改善が実感、効果も1-2年程度持続します。
慢性アキレス腱炎などの治療では2週間ほどで劇的な効果が出現し半年以上、効果が持続します。


(PRP注入療法・多血小板療法)の特徴と治療対象

*しわ・たるみ・きめの改善
*傷の治癒促進(火傷、肉離れ、骨折、靭帯損傷、アキレス腱炎・・・)
* にきび痕
* 肌の若返り
* 火傷
* 皮膚外傷
* 皮膚壊死
* テニス肘
* ゴルフ肘
* 肉離れ
* アキレス腱障害
* 靭帯損傷
* ガングリオン


PPRP療法の流れ


まず自己血液を20ccほど採血。
非常に安全で性能のよい良いPRP作成用のマイセルキット、(My Cells kit)がイスラエルから発売され、これによりクリニックでも安全にPRP療法が出来るようになりました。マイセルキットはアメリカのFDAおよびヨーロッパCEマークを唯一取得した非常に安全性の高いものです。
採血された血液は遠心分離され、血小板を含んだ血漿部分と、赤血球とにゲルセパレーターの働きで分離されます。この血漿の下の部分約1ccに高濃度の血小板が集まっていて、この部分をPRPと呼びます。この部分のみを注射器に取り治療に使用します。


PRPが 有効に働く為には採取された血小板が破壊されずに生きていて、血小板が有効に働き、皮膚再生が行われる為には、活性化されて増殖因子が放出される必要があります。
マイセルキットで採取されたPRPの注入法は、極細の針で損傷組織や肌へ注射します。


マイセルによるPRP臨床注入効果症例

PRPの他領域への応用


安全で臨床効果の優れた自己の血液を使うPRP療法は美容分野のみならず
歯科領域、関節炎、腱鞘炎など整形外科分野への実用化がすでに米国を中心に進んでいます。又、皮膚移植、やけど治療、動物の治療への応用など今後ますます活発に研究と実用化が進むと思われます。

国内では、アンチエイジング治療として美容分野へ導入され広く普及しておりますが、施術者の能力や使用するキットの質により効果も大きく異なります。私どもは 豊富なPRP臨床症例とスポーツ診療部でのアスリートケアの経験から 国内でも今後普及すると考えられる PRP療法のアスリートへの施術を2009年より臨床実験・研究をスタートしました。
慎重にその経過と効果、手技、注入量、注入部位、プロトコールを検討し、株式会社 ベリタス 様ご協力により順天堂大学医学部 総合診療科 小林弘幸教授、順天堂大学医学部 整形外科の下、臨床研究を進めています。
すでに海外ではNBA、メジャーリーグで活躍するトップアスリート、オリンピック金メダリストらがPRP療法を導入して故障のケアを行っています。
タイガーウッズ選手もオフィシャルにPRP療法によるアキレス腱断裂の治療や靭帯損傷の治療を行っていることを公表しました。
当院では、国内で初めてPRP療法を美容目的以外でアスリートのアキレス腱周囲炎の治療に行いました。
陸上男子110MH アテネ、北京五輪日本代表で元日本記録保持者の内藤真人選手が北京五輪以前からの強いアキレス腱痛に悩み アキレス腱へのPRP療法を受け劇的に痛みが改善し2010年の日本選手権大会の出場も可能となり5位入賞しました。ロンドンオリンピックへ向けチャレンジが続きます。今後も疼痛改善のみならずアキレス腱の根本的治療にもPRP療法を継続することを強く希望されています。
内藤選手からの紹介で 世界陸上男子400MHで2度の銅メダルを獲得した為末大選手もPRP療法を故障したアキレス腱と膝蓋靭帯へ行いました。


4月11日の日刊スポーツで為末選手復活レースの記事が掲載され、この中でPRP療法の治療を受けたことが紹介されました。

<陸上:記録会>◇4月9日(日本時間10日)◇米カリフォルニア州クレアモント

 
陸上男子400メートル障害で世界選手権2度銅メダルの為末大(32=a-meme)が、北京五輪以来となる2年8カ月ぶりのレース復帰を果たした。米カリフォルニア州のパノマ大が主催する記録会で、400メートル走に出場。タイムは48秒74と平凡ながら、ケガとの闘いを乗り越えての復帰。侍ハードラーが第一線に戻ってきた。

 走り終えた為末1 件の表情には、心地よい充実感がみなぎっていた。「こうやって競技場に来るのは北京以来。怖さみたいなものがスタートする時にあって。タイムはよくないが、レースして、ゴールできて、本当によかった」。

 北京五輪後は故障続き。特に左膝の痛みに悩み、昨年8月、自らの血小板を患部に注射するPRP治療を受けた。もともと美容整形の技術であり、タイガー・ウッズらも受ける治療法に選手生命を委ねた。「今年だめだったら、もうダメだろうな」と引退が頭をよぎったが、ここ3カ月は完全に痛みが消えた。

 今後は日本に戻り、17日に金沢の記録会でいよいよ400メートル障害に挑む。記録次第で来月3日の静岡国際への出場が決まる。今季は8月の世界選手権での決勝進出が目標。その出場権を得るためには、参加標準記録(A標準49秒40、B標準49秒80)を破り、6月の日本選手権で上位進出が必要だ。大きな目標は、来年のロンドン五輪出場だ。「五輪の決勝を戦うのが夢。その夢を見られそうだというのが、今日でだいぶ感触を得られた」。侍ハードラー復活へ、米国の地から大きな1歩をしるした。



為末、3カ月前から劇的に回復
2011.4.10 17:31
 故障に苦しんだ時期、為末は1度練習すると痛みで3日は休まなければならなかったという。それが快方に向かったのは約3カ月前。両膝と左アキレスけんに血小板を注射する治療を受けたそうで「もともとは美容整形の技術。アキレスけんに劇的に効いた」と説明した。

 5月で33歳になる。年齢による衰えも感じており「ダッシュを持続する能力が一番落ちた。最初から飛ばさず、滑らかに1周するコンセプト」と目指す走法を語った。(共同)


 [2011年4月11日9時13分 日刊スポーツ紙面から]


ほかにも日本を代表するアスリートがこの治療を受けて疼痛の改善、可動域向上など効果を実感して競技に復活しています。
ドーピングにならない画期的な治療法としてますます国内で注目を集めることになると予想されます。
将来的には肉離れや骨折、捻挫、突き指・・・といった一般的な怪我にもPRP療法が普及するかもしれません。
火傷や皮膚外傷で大きな治療効果を期待でき、実際、当院でも難治性の3度熱傷への治療としてPRP療法を行い目覚ましい効果が見られた症例を経験しました。
ガングリオン、外科手術後の傷口のケアにも使用されるようになるでしょう。
遠い医療と考えられていました再生医療ももうすぐ身近になります。
ご期待ください。