Dr.Sのスペシャルコラム

第8回アンチエイジング医学国際学会 2010

第8回アンチエイジング医学国際学会 2010
スーパードクターと巡るモナコ・パリ

 4月8日から10日までモナコ公国 モンテカルロで開催されました 第8回アンチエイジング医学国際学会で演題発表を行いました。
スポーツ医学に関します演題と美容医療分野での2演題発表を希望しておりましたが、演題発表希望者多数からの選定ということで1演題のみ採用されました。
この学会参加は今回で4度目。
パリとモナコで毎年1回開催されています。
アンチエイジングの世界的な関心の高まりとこの分野での研究や臨床医家の急激な増加から毎年、学会参加者も急増して規模も拡大しています。
今回の学会参加は日本から15名、5演題の発表が行われました。
私の発表演題タイトルは、
「Heart rate variability and differential count of leukocytes in athletes: Japanese study」
 スポーツ医学に関することです。

発表は、公用語 英語で行われました。
質疑応答、ディスカッションも英語のため事前にプライベートレッスンをかなりの時間受けましたが、聞き取りがやっとでした。
国際学会での英会話力の重要性がさらに認識できました。
国内でも発表も論文も英語が常識といえる状況です。
現在、私は順天堂大学大学院 医学研究科に籍を置いてアンチエイジングの研究を行っており、担当教授である小林弘幸教授と奥様と一緒に会場入りし発表を行いました。
美容目的の演題が多数を占めますが、最近では栄養や再生医療など数多くの分野での発表が行われています。

 参加していつも感じることは、学術集会でありながらまるでファッションショーのようにプレゼンや出店企業ブースがおしゃれなことです。
参加されるドクターもモデルとしても通用されるほどスタイル、ルックス抜群で服装も洗練され華やかな方が多いことに驚きます。
国内の学会では見られない光景に刺激になります。

ヨーロッパのドクターの参加が多いのですが、演題はボトックス治療やヒアルロン酸注入といったしわ除去の治療に関するものが多くその内容の充実さ、レベルの高さには感動します。
パワーポイントでのプレゼンでは解剖と臨床をミックスした画像でわかりやすく注入部位や手法を解説されるドクターが多く、国内での学術発表ではまずあり得ない光景です。
 

 3日間の学会開催ですが、興味があるセッションを覗いて、空き時間は担当教授の小林弘幸先生と一緒にモンテカルロ、エズ村を散策しました。
モンテカルロは歩いて回れるほどの広さで F1モナコグランプリが行われる公道サーキットを回りながら散策を行いました。
5月に行われるF1グランプリのため公道横にはフェンスが設置されていました。
私がいつも宿泊するホテルは、モナコ3大ホテルの一つ エルミタージュホテルです。
洗練された内装とサービスが人気のいわゆる日本人好みのホテルです。



 

 モナコを初めて訪れた時は、ジュニアスイートに宿泊しました。モナコ湾が一望できるプライベートテラスがある明るいおしゃれな部屋でした。
今回は学会運営事務局に依頼したため通常ルームでした。
決して大きくありませんが歴史を感じさせます。コンシェルジェスタッフも気配りが素晴らしくフランス人にしてはよく働いていました。

学会場からは徒歩10分ほどの距離にあり観光にも最適なロケーションです。



 

モンテカルロ到着当日は、世界的にも有名なレストラン カフェドパリで夕食を取りました。
 100年の歴史があるカフェとしても有名です。1988年に当時1億フランの巨額を投じて完璧に復元されたベルエポック・スタイルは一見の価値があります。
決して豪華ではありませんが、活気にあふれ席は満席状態でした。
パスタ、ラム肉、オニオンスープ、フルーツなどアラカルトでオーダーしましたが味はなかなか。かなりのレベルです。
学会初日、演題発表が無事終了し、当日はオテルド・パリ内のレストラン Le Louis XV - Alain Ducasse で小林教授夫妻と会食を行いました。
ルイ15世王朝風のこのレストランはアラン・デュカスが着任3年にして、33歳史上最年少で、モンテカルロに初めてのミシュラン3つ星の栄誉をもたらしました。
サービス、味、値段も超一流といわれるだけあって満足できる会食会となりました。
 

 小林教授は順天堂大学では総合診療科の診療を始め漢方医学の研究、史上最年少東京都医師会理事も務められ全国での講演、テレビ出演などメディアへの露出も多くスーパードクターで 日本で最も忙しい医師の一人なので国内でゆっくり話をする機会をもつことが困難です。
今回の学会ツアーでやっと今後の研究や書籍の執筆、今後の論文作成など具体的な打ち合わせをすることができました。
今回の学会ツアーの目的は私たちにとっては、研究打ち合わせツアーでもあったのです。


 

 翌日は、午前中が空いていたので エズhttp://p4room.mda.or.jp/~pon/france/eze/eze.html 村への散策を行いました。
 まるでおとぎ話の世界に来たよう・・・と多くの観光客は話します。
中世の趣を残した素晴らしい名所です。

エズ村での散策を終え再び、学会会場へ。
ボトックスセッションを聴講しました。
このセッションは最も人気のセッションで会場も巨大で1000名以上収容できる大ホールでの講演になりました。
国内の専門書やセミナーでは決して学べないテクニックやアイデア、解剖学的な知識とアプローチが充分吸収できました。
これまでの自分の臨床経験に照らしても今後の診療に大きく役立つことになると思います。
 

 展示ブース散策もこの学会参加の楽しみの一つです。
各ブースは百貨店の化粧品コーナーを豪華にしたようなデザインです。
ヨーロッパのメーカーが大多数を占めます。
昨年は多くのブースを出展していました韓国企業はなぜか今年は少なかったように思います。
目新しい機器はありませんでしたが、特に目についたのは、フラクショナルレーザーや光治療機器のデザイン性が大きく向上したことです。
ダイエット関連での治療システムの出展も増加していました。

アラガン社のブースは企業の規模と似つかわしくなく控え目な出展でした。
主力フィラー商品である ヒアルロン酸注入材料であるジュビダームシリーズのプロモーションがメインでした。
いつもは、大量に手術機材や書籍を購入するのですが、今回は発表疲れ?でブース周りだけで終了。

学会2日目は、ホテル近くのモナコ湾が見渡せます絶好のシー・ビュー・スポットにあります ル・サン・ブノワでの会食会でした。
新鮮なシーフードはリーズナブルプライスでした。
日本語メニューがあり迷うことなくオーダーできました。

 学会3日目
早朝、起床。
ホテルのレストランでビュッフェを小林教授夫妻ととって一緒に旧市街地 モナコ・ヴィル地区 大公宮殿周辺を散策しました。
モナコ大聖堂の中へ入るとグレース王妃の墓所を見つけました。
恒例のメダル購入。
大聖堂の中に記念メダルを販売している自販機があります。
お土産にメダルを購入しました。
 モナコ大聖堂のメダルは富をもたらす良い気が入ったメダルとして大人気だそうです。

散策後、エルミタージュホテル内のカフェで今年中の研究と論文に関します計画を小林教授と打ち合わせその後、学会会場へ。
ブースフロアを一回りして再びボトックスセッションを途中まで聴講してホテルへ戻りました。
すぐにタクシーでニース空港へ向かいました。
30分ほどの距離でしたが、タクシー料金は何と!100€
国内の3倍以上ですね。

ニース空港からパリへ向かう時、大きなアクシデントが・・・
チェックインカウンターでスタッフに指示を受けた通り案内ゲートで待っていると前便の出発が遅れていました。
このため私たちの便も遅れているのだと思い待っていると定刻になってもアナウンスがありません。
おかしいと思って表示板を見に行くと・・・すでに乗るべき便は発った後。
ゲートスタッフにクレーム。
 案内ゲートミスがわかり何とか交渉後、30分後に出発するパリオルリー空港行きに乗ることができました。
ゲートミスは案内係員のせいとはいえ 自ら再チェックが海外では絶対に必要と感じました。
初めての乗り遅れ・・・さすがに焦りました。
昨年は、パリでのストでのニース行きの飛行機が大きく遅れたこと、ニース到着後、同乗スタッフのスーツケースが届いていなかったこと。
ヨーロッパ旅行は多少のトラブルは覚悟しなければなりません。

パリオルリー空港から宿泊ホテル エンパイアパリへタクシーで向かいました。
パリ到着当日は、 ミシュラン1つ星の 和食鉄板レストランあい田
http://www.aidaparis.com/annonce_j.html で会食を行いました。
1年ぶりですが、マスターは私を覚えてくれていました。
オーナーの相田康次さんは3年前に情熱大陸でパリでの奮闘ぶりが紹介されていました。
元芸能人の相田さんですが、現在ではパリで成功された日本人の一人です。
いつも満席のこのレストランは今やフランス人客が7割を占めるまでになっています。
和食鉄板焼き・・・フランスの素材と日本の素材を絶妙にミックスした料理は、私がこれまで食した鉄板焼き料理でも最高の味と一押しです。
目の前で調理される一品、一品がとても新鮮でオマール海老付きのコースは感動をものです。
肉はフィレ肉を限定。
脂身が苦手な私にはサーロインより嬉しい内容です。
病みつきになりそうな・・・店です。
ということでパリ2日目も小林教授と一緒に再来店してしまいました。

 パリ2日目は朝、7時15分にマイバス社へ集合して 小林教授夫妻と一緒にモンサンミシェルへ
片道4時間半、距離にしてパリ市内から360km。
私は2度目の訪問ですが、西洋の神秘と言われていますモンサンミシェルは年間400万人の観光客が訪れるそうです。
複雑で数奇な歴史を繰り返したこの場所も今では世界遺産に登録され 大天使ミカエルをにも注目が集まっています。
名物のオムレツをランチで食し、モンサンミシェル内を2時間ほど散策しました。
多くの土産物店が軒を連ねていました。
観光客で身動きがとれないほどの細い道が教会へと続きます。

 モンサンミシェルでは、大天使 ミカエル像と対面できます。
大天使ミカエルは想像上のものと考えられていますが、私はその存在感に圧倒されました。
信仰心が全くない私ですが、ミカエルの存在は明確に認識できます。
モンサンミシェルには宗教を超えた伝説や使命があるのではないでしょうか。

小林教授とは、国内ではゆっくり研究、今後の事業展開、書籍執筆に関します打ち合わせ時間がとれませんが、4年ぶりにようやくゆっくりした打ち合わせがモンサンミシェルへのトリップ間で実現しました。
何という因果でしょうか。
小林暁子先生は、過去にさかえクリニック赤坂でも非常勤務していただいて、名古屋のクリニックでも私が行う美容皮膚科診療研修にも参加して指導をさせていただきました。
今では小林メディカルクリニック院長として女性誌STORYをはじめ多くのメディアに美人女医としてしばしば紹介され最先端の美容医療でご活躍中のスーパードクターです。

大学院での研究は、アンチエイジングが軸となりますが、1:スポーツ医学分野 2:美容医学分野によるものです。今回の学術発表は スポーツ医学分野でしたが、今後は美容医学分野、再生医療の学会発表、論文投稿も予定しています。
長いモンサンミシェルトリップの中で多くの具体的事項が決定しました。

1:今年中に 画期的なトレーニング(エクササイズ)の書を私と小林教授が共著で出版。
これまで多くのフィジカルトレーナーがトレーニング書を執筆され出版されていますが、専門医がトレーニングに関します書を出版した事例はほとんどありません。
専門医がトレーニングに関する書を執筆する以上 全て科学的根拠つまりエビデンスが存在する信頼度の高いものです。
私どもが世界レベルの多くのトップアスリート指導、支援で行ってきたトレーニング、エクササイズ法を一般の方に いつでも どこでも 器具を使用しないで 簡単に 短時間にでき確実にトレーニング効果が得られるものを掲載します。

2:ベストセラーにすること

3:年内に新しい研究、実験に着手し 論文投稿を最低 3題以上行うこと

4:スポーツ戦略と健康ビジネスへの応用

5:さかえクリニック と順天堂大学 大学病院との臨床での提携

6:スーパードクター構想

などです。

モンサンミシェルからパリ市内へ20時半に帰ってすぐに あい田へ夕食に小林教授と向かいました。
和の空間で研究や人脈の話が進みました。 ホテルへ帰ると23時半を回っていました。

翌朝、小林暁子先生と家内がショッピングに回りたいとかねてから希望していたので、小林教授とは彼女らのショッピングに付き合い研究の話をより具体的に進めました。
パリでの観光やショッピングの時間は全て 国内ではできない研究の打ち合わせやプロジェクトの発案に。
チュイルリー公園内にあるカフェでお茶をして オランジェリー美術館http://www.museesdefrance.org/museum/special/backnumber/0605/special02.html
へ向かいました。とても明るい素敵な美術館です。
画家クロード・モネの最後の大連作 睡蓮 の間は、素晴らしい 気であふれ心地よい時間に身を置くことができました。

夕方の帰国フライトの時間が迫ったので急いでホテルへ戻りタクシーをコンシェルジェに依頼しました。
10分で到着するということでしたが30分経過してもタクシーが到着しません。なんどもコンシェルジェに伝え、ようやくタクシーが。
今回の旅行では、フランス人の時間のルーズさには本当に参りました。
余裕でシャルルドゴール空港に2時間前到着の予定が・・・
なんと!大交通渋滞・・・ 全く車が動いていない。
運転手に停止した状態で空港まであと何キロ?と尋ねると 20キロ!!との回答。
まずい。大変なストレスが。。。
交通事故で大渋滞が起こっていたのです。
何とか1時間半前に到着。急いでチェックイン。
今度は乗り遅れないように、しっかりゲートを確認して成田行きのJALへ搭乗。
無事帰国しました。

帰国3日後のアイスランドの火山の噴火でヨーロッパの多くの空港が閉鎖されましたが間一髪の帰国となりました。
ヨーロッパへの旅行は何があるかわかりません。
文化も言語も異なるヨーロッパですが、それ以上の魅力にひかれます。

小林教授からは、来年もじっくり研究や企画の打ち合わせを行う場にしましょうとの提言で第9回アンチエイジング医学国際学会でも発表を予定しています。

医師でなくても参加可能ですので是非、日本からアンチエイジング医療に関心がある多くの研究者やビジネスに関心がある方の参加をお勧めします。

(2010.4)

自律神経機能強化と身体能力向上システム

アスリートのための新しいトレーニング
自律神経機能強化と身体能力向上システム

 

多くのアスリートが肉体を鍛えるフィジカルトレーニングを日々、過酷に行っています。国内にも多くのフィジカルトレーナーが存在し、ウエイトトレーニング、加圧トレーニングをはじめ各種トレーニング指導を行い、アスリートの身体能力向上に努められています。

しかし、本当にどのアスリートにもウエイトトレーニングや加圧トレーニングが必要でしょうか?
学術的根拠が存在し、競技結果が伴っているのでしょうか?

大きく期待されメディアがこぞってメダルラッシュか!と騒ぎたてた大阪世界陸上の惨敗、バンクーバーオリンピックの惨敗という結果は記憶に新しいことです。

肉体を過酷に鍛えるトレーニング。絶対に結果を出さなければいけないという重圧と精神的ストレス。
地元開催の世界選手権やオリンピックという異様な雰囲気。

鍛え上げられた肉体も 競技当日 アスリートが故障してたりベストパフォーマンスを見せなければ、意味がありません。
私どもは、10年以上アスリートのフィジカルトレーニング以外のトレーニング方法として自律神経機能トレーニングと日々のコンディショニング、競技前のケア、コンディショニングを行ってきました。

その結果、多くのアスリートは予想通りの結果を残し、競技ではベストパフォーマンスを見せてくれました。

肉体をハードウエアとするなら自律神経機能はソフトウエアに相当します。
パソコンもハードウエアとソフトウエアが存在して起動し、良いソフトウエアがあれば多くの作業を短時間で効率よく行うことができるといったパフォーマンスの向上が見込めます。

アスリートも同様ではないでしょうか。

ベストパフォーマンスを見せることができるためには、アスリートのソフトウエアをバージョンアップする必要が不可欠です。
ここでは スポーツ界でご活躍される指導者の皆様やメディアの方々、アスリートの皆さんへ自律神経機能測定、自律神経機能の向上のためのトレーニングや手法をわかりやすく解説したいと思います。

自律神経機能向上はアスリートのみならず コーチングや教育にも応用できビジネス的な戦略としても導入すれば大きな成果が必ず得られます。
ストレスが多い現代においてそのストレス耐性の能力を測定し、ストレス耐性能力を獲得できることは大きな意義を持ちます。
各種セラピーの科学的評価、癒しのトレーニング、癒しのビジネス、健康チェックなど応用範囲やその活用法は無限に広がります。

米国のベンチャー企業であるBIOCOM社が開発した 自律神経機能定量評価システム Heart Rhythm Scanner 、自律神経機能トレーニングシステム Heart Traker を導入して我々は10年にわたり臨床研究を重ね、医療機関においてスポーツや癒しの治療現場に導入し大きな成果を得てきました。


自律神経とは?

自律神経は神経系統の一部で、体の全ての器官とシステムを随意的にコントロールしています。他の神経系統と同様、自律神経には中枢神経(脳幹の中の核)と末梢神経(求心性および遠心性線維と末梢神経節)があり全ての体内器官につながっています。自律神経には交感神経と副交感神経(迷走)神経があり、これら2つの部門が拮抗してそれぞれの体内器官に影響を与えています。

交感神経は、心臓を含むほとんど全ての体内器官に対しそれらの機能を刺激します。交感神経による刺激が増加すると心拍数、拍出量、体血管収縮等々は増加します。
対照的に、副交感神経はこれら体内器官の機能を抑制します。副交感神経による刺激が増加すると、心拍数、拍出量、体血管収縮等々は減少します。

交感神経と副交感神経は車のアクセルとブレーキの働きに例えられます。
アクセルを吹かして少し時間が経過してスピードが上がってくるのと同様、心拍数も増加します。ブレーキは一瞬で効きます。つまり、ブレーキをかけると瞬時に心拍数が低下します。

一般的にトップアスリートは優れた副交感神経機能を持っています。
アスリートの身体をF1マシーンに例えるのなら優れたブレーキを持ったマシーンが最速のレースを支えていると言えるでしょう。
また、自律神経は心拍も含めて、呼吸、排尿、排便、消化、瞳孔の動きの変化、唾液腺の活動など身体のほとんど全ての活動を制御するパソコンでいうCPUのような重要なシステムを担っています。

この自律神経なくしては身体の事は語れません。

CPUのバージョンアップが何を意味するのか?

身体全体の能力向上につながるのです。


自律神経機能を検査する

●心拍変動解析システムで測定して、自律神経機能を科学的に把握する

自律神経機能を正しく評価するために、心拍変動解析システムを使用しています。これまで治療効果の科学的評価が難しかったアロマセラピーなどの効果も、このシステムを用いることによって把握できます。呼吸法のバイオフィードバックトレーニングにも利用しています。もともとはロシアの科学者が開発して宇宙開発に使用されたシステムであり、ロシア崩壊後、アメリカに渡ったロシア人科学者が立ち上げた、ベンチャー企業のBiocom社と、技術・臨床研究の提携をして、最先端のシステムを臨床的に開発しています。「ハートリズムスキャナー」「インナーバランススキャナー」「ハートトラッカー」のシステムで、RSAによって自律神経の機能レベルを調べます。

 

 

検査の結果は、パソコン画面に図で表示されます。横軸が交感神経機能、縦軸が副交感神経機能のレベルを表します。中央のエリアがノーマルであり、検査結果を示す丸印が右にあるほど交感神経機能が高く、上にあるほど副交感神経機能が高いといえます。トップアスリートは交感神経機能も副交感神経も高いレベルにあることが理想です。一方で、副交感神経機能が低下すると免疫機能が低下するため、風邪にかかりやすくなりヘルペスも悪化します。オーバーワークですぐにダウンしてしまう状態です。
アスリートの事例としまして古賀琢麻選手の検査結果です。アメリカでは大リーグやNFLと並ぶNASCARのレーサーです。NASCARという過酷なレースのドライバーである古賀選手は、交感神経、副交感神経ともに高いレベルにあります。自律神経機能の能力が非常に高く、極度の緊張のなかでもリラックスできる能力をもつ、才能にあふれたアスリートであることがわかります。図2は、さかえクリニックトラッククラブに所属して2004年、日本陸上史上初めて、7種競技でアテネ・オリンピックに日本代表として出場を果たした中田有紀選手の結果です。この日、中田選手は風邪をひいており、検査の結果も副交感神経機能レベルの低下を示しています。リンパ球低下は抗ウイルス効果低下を意味します。
自律神経機能と免疫機能の相関関係がすでに各論文で指摘されています。


パフォーマンスアップ

●自律神経機能の高さはトップアスリートにとって重要な能力である

過剰なストレスがかかるトップアスリートほど、自律神経機能は特に重要です。トップアスリートはパワーアップなどフィジカル面の向上を図るだけでは勝てません。筋肉や自分の身体をコントロールする自律神経機能を向上させることが、1cm、0.01秒の差となってパフォーマンスに表れるのです。
極限のストレスの中で長時間にわたって戦うレーサーの身体には、通常では考えられない大きさのG(重力)がかかります。古賀選手が活躍するNASCARは、平均時速320kmでオーバルコース(楕円形コース)を3時間も走り続けるのですが、片側の脳が虚血になる恐れがあるほどの横Gが加わるものの、そうならないのは自律神経がコントロールしているためです。レーサーにとって自律神経機能はレースを成立させるために重要な能力であるのです。ウエイトトレーニング以上に自律神経機能トレーニングは重要です。
2004年、2005年 サポートを務めさせていただきましたフォーミュラ・ニッポンのレーシングドライバーM選手(2007年、2008年 フォーミュラニッポン総合王者)の場合には、サポート開始してすぐに顕著な成果が表れました。M選手は、不眠と口内炎、胃腸の不調を訴えていました。副交感神経機能の低下が疑われる症状であり、心拍変動解析システムを使用して調べたところ、交感神経に比べて副交感神経が著しく低下していることが確認されました。この状態を改善するために、エアナジー、アロマテラピーを用いて自律神経機能向上するためのケアを行いました。呼吸法もトレーニングに取り入れました。
その効果はすぐに表れ、検査で副交感神経機能が向上したことが確認され、口内炎や不眠も改善し、精神的にも安定した状態でレースに臨むことができるようになりました。そして彼のメディカルトレーナーとして、レーシングドライバーとしての身体能力を向上させる指導を徹底したところ、2ヵ月後に開催された全日本GT選手権第5戦において、M選手とA・ロッテラー選手のチームが見事優勝を果たしました。(写真4、図6)。05年はFN最終戦でP.P獲得し、3年ぶりに2度表彰台に上っています。
自律神経機能の重要性を説くトレーナーや医師はこれまでにもいましたが、検査はこれまでに行われてきませんでした。具体的な定量評価なく自律神経がよくなった、呼吸法がよいなどいうのは科学的ではありません。定量評価がなければ科学ではありません。

心拍変動解析により自律神経機能が定量評価できることは、多くの福音をもたらします。

より具体的にアスリート達の身体情報が簡単に得られ、より詳細にトレーニング指導やコンディショニングを ソフトをインストールしたパソコン1台でいつでも どこでも検査、トレーニングできるのです。

アスリートのソフトウエアのトレーニング、コンディショニング、ケアの重要性は今後、大きな注目を集めスポーツ界に大きな変革をもたらすことを確信しております。

Heart Rythum Scanner、Heart Traker が スポーツ界のみならず 教育、ビジネス、健康産業、癒し、各種セラピー、アンチエイジング研究などに幅広く導入されていくことになるでしょう。

これからは、ハードウエアだけでなくソフトウエアに注目が集まることは間違いありません。

脈拍の揺らぎから情報を得て分析することで身体のコントロール能力が分かる!

素晴らしいシステムに益々、注目が集まることになります。


自律神経のトレーニングとは?

呼吸法は自律神経機能を向上させる数少ない方法の1つであり、アテネ・オリンピックのハンマー投で金メダルを獲得した室伏広治選手も呼吸法を取り入れており、呼吸法の指導を受けるために、アメリカまで月に1回通っていたそうです。
呼吸法によって自律神経機能が高まるのは、特定の呼吸のリズムに、自律神経の働きを調節する圧受容体の反射活動が起こるからです。自律神経は呼吸によって心拍数が上下します。息を吐くときには下がり、吸うときには上がります。この呼吸によって変化する心拍数の変化をRSA(呼吸性不整洞脈)といいます。RSA は0.1Hz付近(1秒間に0.1回の周波数)に合わせて呼吸をすると、圧受容体という心臓や血圧といった循環システムの変化をとらえる組織の反射活動が起こり、呼吸のリズムと同調して、最大に高まることがわかっています。循環システムは自律神経支配なので、1分間に6回のゆっくりとした呼吸を行うことによって、自律神経に影響を与える(トレーニングする)ことができるのです。これはバイオフィードバックトレーニングの1種であり、NASAの宇宙飛行士や戦闘機のパイロットのトレーニングメニューにも採用されています。

自律神経機能を高める呼吸法は、1分間に6回の深呼吸、つまり10秒で1回(5秒で吸って5秒で吐く)を基本とし、ゆっくり鼻から吸って、口から吐きます。1分間に6回というのは、医学的な実験によって出された平均値であり、一般的な目安です。実際には個人差(実験では4.5~6.5回/分)があります。したがって、1分間に何回の深呼吸がRSAを高める最適な呼吸数であるかを知る必要があります。その上で、自分にとって最適の呼吸数の呼吸法ができるようにトレーニングする必要があります。

この自分にとって最適なレベルの呼吸数や方法を認識できるトレーニングシステムが Heart Trakerなのです。
バイオフィードバックと称されるこの呼吸法トレーニングは諸外国でもスポーツ分野のみならず健康やビジネスの場でも大きな成果が得られています。
さかえクリニック スポーツ診療部でもこの呼吸法指導を導入して多くの世界的なアスリート支援を行っています。
さかえクリニック スーパーバイザー 仲田健フィジカルトレーナーが指導する石川遼選手が呼吸法を取り入れたコンディショニングを行っていることはテレビ画面を通しても明確です。
バイオフィードバックトレーニングには、ウエイトトレーニング場やサーキットは不要です。
たった1台のパソコンが貴方の身体能力向上に役立ってくれます。

(2010.3)

さかえクリニック クリスマスパーティー&コンサート

Sakae Clinic
Christmas Party & Concert 2009
 

2009年12月13日(日)名古屋観光ホテルにて、さかえクリニック クリスマスコンサートを開催いたします。
豪華な美味しいお食事をお楽しみいただきながら、ヒーリングミュージックの生演奏で心も体も癒されてください。
お食事後はアーティスト2名によるスペシャルライブを、身近な空間でお楽しみください。

<詳細>
■2009年12月13日(日)
■料金:全席共通 お一人様 12,000円(お料理・お飲物・税・サービス料込)
■会場:名古屋観光ホテル 2階  曙の間
■開場:11:30 お食事:12:00~
※未就学児のご入場はお断りいたします。

<出演アーティスト>
大矢たけはる MIWA

詳細はお問い合わせください。
ご予約・お問い合わせ 052-953-9676
(クリスマスパーティの件とお伝えください。)

2009 Sakae Clinic Party

アンチエイジング ランチ・ディナー

美肌昼餐・晩餐
アンチエイジング ランチ・ディナー
2009.10.1 ~ 2009.12.31

中華レストラン「花梨」での美容・アンチエイジング目的とした食材を使用したメニュー。 美容専門医として特別コースメニューを監修いたしました。

旬の食材と高品質な国産の抗酸化食材などにこだわった、「食べる」理想のアンチエイジングです。
今回は、1周年記念として、ディナーコースのメイン2品をお選びいただけます。ぜひこの機会にご賞味ください。

<昼餐>
・前菜の盛り合わせ
・アンチエイジング蒸し物二種
・本日のコラーゲンスープ
・海鮮二種の桜海老ジャン炒め
・豚フィレ肉の黒酢ソース
・鮮魚と雪菜の強火蒸し
・きのこと海鮮入り中華風粥
・杏仁豆腐 ジンジャー風味

<晩餐>
・前菜の盛り合わせ
・ライチの揚げ物
・海鮮二種の桜海老ジャン炒め
・ふかひれと薬膳人参の蒸しスープ
・豚フィレ肉の黒酢ソース または 海老のチリソース
・鮮魚と雪菜の強火蒸し または 有機大根の五目詰め
・きのこ入り野菜の餡かけ焼きそば
・杏仁豆腐 ジンジャー風味

詳細は中華レストラン「花梨」までお問い合わせください。
ご予約・お問い合わせ 052-683-4111

アンチエイジングセミナー&ディナー ~美肌と美食~

ホテルグランコート名古屋
アンチエイジングセミナー&ディナー

「いつまでも美しく健康でありたい」と女性は誰もが思うはず。
日本美容外科学会認定専門医である「さかえクリニック」院長・末武信宏氏を迎えて、「最先端の美容医療とアンチエイジング診療の実際」をテーマに講演いたします。講演後は 29F中華料理「花梨」にてアンチエイジングディナーをご堪能いただけます。
美容について、学んで食する至福のひとときをお過ごしください。

<日時>
2009年9月27日(日) 17:00~20:00(要予約)
(※17:00~18:00 セミナー、18:00~20:00 ディナー)

<受付>
ホテルグランコート名古屋 6F「宴会場」
(※ディナーはセミナー終了後、29F「花梨」に移動)

<料金>
1名様 ¥8,000
(受講料・税金・サービス料込)
◎アンチエイジングディナー・ドリンク・お土産付
 

<講師>
末武信宏
第88回日本美容外科学会会長
日本美容外科学会認定専門医
日本美容外科医師会 理事
さかえクリニック 院長
順天堂大学医学部 病院管理学 所属

<ご予約・お問い合わせ>
Tel:052-683-4111
29F中国料理「花梨」まで
※定員になり次第、締め切らせていただきます。
※お電話での受け付けとなります。

 

アンチエイジングセミナー&ディナー ~美肌と美食~

 

 

体とココロを休めるファスティング・ダイエット

「プチ断食1泊体験」

話題の「プチ断食」をリビングカルチャー倶楽部が企画。名古屋からわずか2時間、自然に囲まれた伊勢志摩・合歓の郷で「さかえクリニック」院長の末武先生の監修により“断食初心者”向けに体験入門編として1泊2日“ファスティング”プチ断食コースを用意。

“断食”と言っても完全な断食ではなく栄養価が高く吸収のよい特製ドリンクを食事代わりに摂って消化器官を高め免疫力を高めます。

本来は「予備断食一本断食一復食」と48時間以上かけて行いますが、初めての人は「3日間も断食できるかしら・・・?」と誰しも不安。でもこのコースなら気軽にチャレンジ!しかもみんな一緒なら空腹のガマンもツラクない!?気を紛らわしたり、リラックスするためのおぽションメニューで、前向きに“断食気分”を楽しんじゃいましょう~♪

詳細はこちら
http://lc.web.co.jp/modules/eguide/event.php?eid=1566

アンチエイジングセミナー&ランチ ~美肌と美食~

ホテルグランコート名古屋
アンチエイジングセミナー&ランチ

東海地方でナンバーワンの人気 中華レストラン「花梨」で「最先端の美容医療とアンチエイジング診療の実際」をテーマに講演いたしました。

<日時>
2009年2月4日

<場所>
ホテルグランコート名古屋5F「ローズルーム」

 

美容外科における創傷治療法

Methods of Wound Treatment in Cosmetic Surgery

末武信宏*、森田有紀子*、加治佐知子**
*さかえクリニック
**順天堂大学医学部病院管理学
Nobuhiro Suetake,M.D. *, Yukiko Morita,M.D. *, Tomoko Kajisa,M.D.**
*Sakae Clinic
**Department of Hospital Administration, Juntendo University School of Medicine

和文抄録
近年の美容外科手術の目覚しい進歩においても縫合創や手術創への創傷ケアの重要性はこれまで議論されることは少なかった。一般外科以上に創傷ケアに関する知識と手技を美容外科医は要求される。近年多くの創傷被覆剤も使用されているが、その基本的な使用法、創傷ケアに関する手技について考察を行う。

多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)は、遠心分離によって血小板が濃縮された血漿であり、血小板から放出される各種サイトカイン、Growth Factorの生理活性と、フィブリン・血小板糊の組織接着・創傷被覆効果が期待され、再生治療や創傷治癒の側面からの臨床応用が試みられている。今回我々は、美容外科領域の創傷ケアにもPRP療法を応用し、良好な結果を得たので報告する。

Key words:gauze dressing, sterilization, moist wound healing, platelet rich plasma, wound dressing
 
緒言
近年美容外科手術が目覚しく進歩している一方で、縫合創や手術創における創傷ケアの重要性はあまり議論されていない。一般外科医の間では、旧来の消毒とガーゼを用いた創傷治療が行われているようであるが、創を治癒させるには湿潤環境を保つことが必要であり、現在の創傷治療は、創傷被覆材等を用いたウエットドレッシング療法が主流となってきている。美容外科医は、一般外科医以上に創傷ケアに関する知識と手技を要求されるため、創傷治療についても習熟する必要がある。

今回我々は、従来の創傷治療を見直し、新しい創部へのアプローチを行い良好な結果が得られたので、基本的な創傷治癒理論を踏まえた上で最近の創傷治療法について、具体的な手技とともに紹介する。

本論
1)創傷治癒理論
創傷治療は、外傷でも術後の縫合創でも術後の感染や壊死などのトラブル治療においても基本は同じである。創傷治癒過程を細胞培養になぞらえて考えると、細胞を培養する際には細胞を培養液中に入れ湿潤環境を保つことが必要であるように、創傷が治癒する過程においても、培養液に相当する組織液が重要であり、創部を乾燥させてはいけないことが分かる。

外傷でも術後の縫合創でも感染が認められなければ、創部を閉鎖された湿潤環境に保持することが望ましい。組織液の中には創傷治癒を促進させる各種サイトカインや細胞成長因子が多く含まれている (図1.湿潤療法)。創部へガーゼを直接当てることは、傷を乾燥させることにほかならず、創傷治癒過程を妨げる行為である。従来、多くの外科手術で縫合創へのガーゼやソフラチュールⓇを当てる行為は当然のごとく行われてきたが、創傷治癒の過程を考えた場合、これらの行為は無意味であるどころかかえって創傷治癒を遅らせることとなる。更に、乾いたガーゼが創面に固着するため、処置をする度に出血させ患者に疼痛を与えることにもなり有害である 。

ひとくちに創傷といっても、縫合創と皮膚欠損創では治癒の仕方が異なる。縫合創は、コントロールされた創であり、一次治癒過程をとる。縫合後、すぐに血小板が活性化され各種サイトカインが放出され止血とともに好中球、マクロファージの遊走が創部へ起こる。48時間以内に上皮化が起こり72時間以降、毛細血管の増殖が起こる (図2.縫合創の治癒過程)。更に、皮膚欠損創も創の深さによって異なる治癒過程をとる。浅い皮膚欠損創では毛包と創縁の皮膚の双方から上皮化が起こるため治りが早いが、深い皮膚欠損創では肉芽が形成され周囲の皮膚から上皮化が起こるため治癒するまでに時間を要する , (図3.皮膚欠損創の治癒過程)。

2)消毒の功罪
創部が感染している状態(infection)と創部に細菌が存在している状態(colonization)は異なる (図4.Infectionとcolonization)。
創部が小さく見えてもInfectionに対しては直ちに、感染症の治療が必要となるが、創部が広範囲でもColonizationの状態なら感染症治療は不要であり、消毒をする必要もない。創が感染しているかどうかは、いわゆる炎症の四徴候(発赤、疼痛、局所熱感、及び腫脹)の有無で判断する。滲出液が出たり、黄色の壊死物質が創部に付いていても感染を起こしていない場合も多く、適切な診断が重要である。
縫合創や壊死に陥った手術創への消毒は原則として不要である 。創感染を防ぐためには、むしろ創面から壊死組織などの感染源を除去する、ドレナージやデブリードマンのほうがよほど重要である。消毒をしても感染源が除去される訳ではなく、消毒には感染予防効果はない。

また、消毒薬は選択的に細菌を殺菌しているわけではない。人の細胞と細菌を比較した場合、細菌は莢膜に覆われており消毒に対して人の細胞よりも抵抗性を示す場合がある (図5.人体細胞と細菌の構造の違い)。すると、創に消毒をしても細菌は死滅しないにも関わらず、人の細胞だけが傷害され、創傷治癒が遅延することとなる。

消毒薬は、生体に対して必ずしも有用ではない。クロルヘキシジン(ヒビテン® ,ヘキザック®)の使用によりアナフィラキシーショックを起こした症例も報告されており 、また、ポビドンヨード(イソジン®)も接触性皮膚炎を起こす率が高い 。

特に創部への消毒は、リスクがあることを美容外科医は認識すべきであり、術後の縫合創への消毒は消毒のメリット、デメリットを正しく理解して考慮すべきである。習慣的に縫合創への消毒を行ってはいけない。理由がない消毒は縫合創治癒の遅延と患者への痛みをもたらすだけである。縫合前、手術創に広範囲消毒を行う美容外科医も存在するが、消毒の組織障害性により感染が惹起されることもありうる。創面への消毒は有効な感染予防にも創傷治癒を促進するわけでもない。

症例
1)積極的な創傷治療法であるACR(Autologus Cell Rejuvenation)療法を行った症例を紹介する。

62歳、女性。腋の脱毛治療後、熱傷を起こした症例(図6.症例1)。患者自身でスプレー式の創を乾かす市販の消毒薬を使用したこともあり、感染が起こり4㎝×7㎝の壊死を伴う潰瘍を形成していた。

まず、壊死組織をデブリードマンしたうえで、ACR療法を行った。自己血液を16ml採取し3000回転で8分間遠心分離してRegen社のキットを用いて多血小板血漿(PRP:Platelet Rich Plasma)を作成した(図7,8.PRPの実際)。作成したPRP 3ccを創底部および創縁へ33Gの針で注射し、創傷被覆材であるバイオクルーシブで閉鎖した。48時間閉鎖療法を行い、術後3日目には被覆材を張り替えた。その後順調に創は縮小し、施術後25日目には完全に創は上皮化した。

この間、通常通り入浴させ、施術3日後より毎日、創面をシャワーでよく洗浄するように指示しており、消毒は一切行わず、ガーゼを創部へ直接当てていない。

2)上眼瞼の切開創の縫合を行った症例(図9.症例2)。26歳、男性。縫合部をアルギン酸塩被覆材であるカルトスタットⓇを乗せ、ポリウレタンフィルムドレッシング剤であるオプサイトⓇで覆った。翌日の創には痂皮形成を認めず、創縁は完全に一致している。縫合5日目、抜糸後には上皮化が完了した。

3)他院で行われた小陰唇形成手術の再手術の症例(図10.症例3)。33歳、女性。術後縫合部にカルトスタットⓇを乗せた。これにより創部からの止血が可能となりすぐに溶解して縫合部位が湿潤環境となる。患者には毎日、創部へワセリンを塗布させ乾燥を防ぐように指示した。翌日から入浴可能としたが、術後の痛みは無かった。1週間後、抜糸直後には創部は完全に上皮化し痂皮の形成も認めなかった。

考察
多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)は、遠心分離によって血小板が濃縮された血漿であり、血小板から放出される各種サイトカイン、Growth Factorの生理活性と、フィブリン・血小板糊の組織接着・創傷治癒促進効果が期待される。

血小板は、epidermal growth factor (EGF), transforming growth factor-beta (TGFβ), vascular endothelial growth factor (VEGF), やplatelet-derived growth factor(PDGF)などの各種の成長因子や数多くのサイトカインを放出する (図11.創傷治癒におけるネットワーク)。

PRPでは、末梢血に比べて血小板が約2~6倍に濃縮されているが、白血球や各種成長因子も約2~6倍に濃縮される ため、これにより傷の治癒が促進されることが推測される。また、PRPには、血小板成長因子の生理活性のみならず、血小板による止血作用、フィブリン・血小板糊による組織接着作用、抗炎症効果による皮膚瘢痕抑制の効果が期待されており 、美容外科領域においても応用できる可能性が高い。

これまで症例1のような広範囲の皮膚壊死の治療には植皮術も考慮しなければならなかったが、このPRP療法でも植皮術と遜色ない短期間で創は上皮化して治癒しており、十分治療法の選択肢となる。同様に、脇臭症の手術後の皮膚壊死の治療にも漫然と消毒を繰り返したり、植皮を行うのではなく、適切な創傷治療を行えば患者への日常生活制限もほとんどなく短期間で創傷治癒が得られる。

症例2および3で使用したカルトスタットⓇは、海草のコンブから抽出されたアルギン酸塩を繊維状にして不織布にした創傷被覆剤である 。アルギン酸は自重の15~20倍の水分を吸収し,浸出液などのナトリウムイオンを含む水分を吸収するとゲル化するため、このゲルが創面の湿潤環境を保つ働きをする。ゲル化する際にカルシウムイオンを放出することで極めて強力な止血効果を有するという特徴がある。これらのことから、この被覆材は術創以外でも出血を伴う創の治療に適しているといえる。本症例のようなドレッシング困難な手術部位でも被覆剤を使用すれば効果的な止血、創傷治癒が得られる。縫合創のケアとしてはアルギン酸塩被覆材とフイルムドレッシング材のみで十分であり、ガーゼやソフラチュールは不要である。

美容外科医は、縫合創への消毒、ガーゼ、入浴制限など従来のケア法に大きな誤りがあることに気づくべきである。手術の手技の鍛練のみならず縫合創のケアもしっかり行う必要がある。我々が考える手術創のケアのポイントとしては、まず血腫や死腔を作らないよう適切なドレナージと圧迫を行うことである。皮膚を縫合する前に創内を消毒しないことと、ガーゼやソフラチュールⓇを直接、縫合創へ当てないことも重要である。無論、術後の縫合創にも消毒はせず、48時間以降は入浴により創部を洗浄して清潔にしている。

また最近では創傷治療に関する考え方や手法が一変しており、有用な創傷被覆材 も数多く存在し、その使用法に習熟する必要がある。今後、正しい創傷治療法が広く普及し、その恩恵を受ける患者が増えることを願ってやまない。


 
Methods of Wound Treatment in Cosmetic Surgery

英文抄録
Even with the remarkable strides made in cosmetic surgery in recent years, the importance of care for suture and surgical wounds has received little discussion. Cosmetic surgery requires greater knowledge and techniques for wound care than in general surgical procedures. Many wound-dressing materials have now come to be used; this discusses the fundamental usage methods and techniques of wound care.
Platelet-rich plasma (PRP) is an autologous concentration of platelets and growth factors, such as epidermal growth factor (EGF), transforming growth factor-beta (TGF-beta), vascular endothelial growth factor (VEGF), and platelet-derived growth factor (PDGF). Increase of the wound repair rate by local application of a PRP solution has been reported. Its efficiency is proved in the domain of surgery, for treatment of severe burns and for the transplantation of cells and tissues. In this study, we applied this PRP treatment to wound healing in cosmetic surgery and great effectiveness was proven.

参考文献

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16.美濃良夫.褥瘡のすべて.東京:永井書店,2001:111.
17.五十嵐敦之.創傷被覆材をどう使うか.
Derma. 2007;132:121-127.

アンチエイジングメニュー 高級ホテルとのコラボレーションで実現

美肌昼餐・晩餐
アンチエイジング ランチ・ディナー

東海地方でナンバーワンの人気 中華レストラン「花梨」での美容・アンチエイジング目的とした食材を使用したメニュー。 美容専門医として特別コースメニューを監修いたしました。

高品質な国産の抗酸化食材、上白糖を使わない甘味料や調味料を使うなど徹底的にこだわった、理想の「食べる」アンチエイジングです。

<昼餐>
・前菜の盛り合わせ
・キノコ入り二種蒸し物点心
・本日のコラーゲンスープ
・海老とグリーンアスパラの炒め
・鮮魚と豆腐のガーリック蒸し
・青梗菜の蟹肉餡かけ
・野菜入り中国粥
・杏仁豆腐 ジンジャー風味

<晩餐>
・前菜の盛り合わせ
・キノコの湯葉包み オイスターソース餡かけ
・フカヒレの姿入り白湯コラーゲンスープ
・海老とグリーンアスパラの炒め
・三陸産帆立貝と豆腐のガーリック蒸し
・野菜入り中国粥
・杏仁豆腐 ジンジャー風味

2月4日 水曜日には 最先端の美容医療とアンチエイジングをテーマに講演が決定しております。

早く、キレイ、痛みなく治す 新しい創傷治療の考え方と手技

正しい創傷治療
美容外科専門医からの提言

~ 早く、キレイ、痛みなく治す 新しい創傷治療の考え方と手技 ~

ここ数年で傷のケアに対する考え方や治療法が大きく変化を遂げました。
これまでは、擦り傷でも切り傷でもまず消毒して清潔なガーゼを当てて早く瘡蓋を作る。そして毎日消毒して清潔なガーゼでしっかり傷を覆う。という処置を何の疑いもなく医師も医療従事者も保護者もスポーツ指導者も行ってきました。
 しかし、これら従来の治療法は大きな誤りであり 従来の処置を繰り返せば繰り返すほど傷の治りは悪くなり痛みは増強し汚い傷跡が残ります。

20年以上、美容外科専門医として傷をいかにキレイに早く、痛みが少ない方法で治癒させるかを臨床的研究に取り組んできました。
小外科手術を含め数万症例の手術や傷のケアの中で臨床経験と創傷処置理論がぴったりと一致しました。
痛みなく、早く、キレイにしかも 安価で簡単にできるケアです。

最新の傷のケアの考え方、手技を紹介させていただきます。

 子供の傷、スポーツ選手の傷、すべてに適応できる正しい理論と処置法です。
あなたのお子様が通う幼稚園や学校では傷に消毒していませんか?
ガーゼを直接当てるようなことをしていませんか?
入浴を禁止していませんか?
しっかり確認してください。
たかが傷ではありません。
傷は日常生活で最も起こりうる私たち生体への侵襲であり、誰もが体験することです。
傷により大きなストレスが加わり日常生活や学業などに大きな制限が生じてしまいます。
傷は早く、痛みなく、制限なく、安価に簡単に治せるのです。

このHPの内容をぜひ、ご家族、お友達、周りの方々へ教えてあげてくださいね。
素晴らしい医学知識普及のボランティア活動となるでしょう。


正しい傷の処置

傷の処置には特別な医療用材料も使用しなくても必要十分な対応が可能です。

1:傷には絶対に消毒しない。(いかなる消毒薬も使用しないこと)
2:傷には絶対、直接ガーゼを当てない。(被覆材の上からはOK)
3:傷はすぐに水道水で洗う。(出来る限り異物を除去する)
4:絆創膏の使用は閉鎖性のもののみとする。(傷を乾燥させない)
5:傷は食品用サランラップで覆う(ワセリンを塗ってもよい)か医療用被覆材
(最近は薬局でも手に入ります。)ですぐに覆う(この上からガーゼや保護材を覆うことはよい)。
6:傷の処置の準備としてビタミンC誘導体ジェルを塗布する。
(市販のドクターズコスメで燐酸アスコルビン酸Naが含まれているもの)
ビタミンC誘導体には線維芽細胞の働きを高め傷の治癒を促進し色素沈着を抑制する
効果があります。驚くほどの治療効果が得られる場合もあります。
7:出血は単純に圧迫。
8:刺創、深い切創、異物が混入したり組織の大きな挫滅があるようであれば速やかに
専門医療機関を受診する。
9:傷にクリームは絶対使用しない。
(オロナインH軟膏は基材がクリームのため傷には絶対に塗ってはいけない)
クリームは界面活性剤であり細胞障害性があるため絶対に傷に塗ってはいけない。
10:原則としまして翌日からシャワー、入浴を許可。創面を濡らしても問題ありません。

他人の傷を処置するときは必ず感染防止のためディスポーザブルの手袋(清潔なものでなくてよい)をはめて行うようにします。
素手で他人の傷のケアを行ってはいけません。

少し違和感を覚える方もいるようですが、医学的に正しい傷のケアです。
最近では創傷メカニズムの研究も進み創傷治癒理論に基づいた適切な創傷被覆材を使用すれば、飛躍的に創傷の治癒期間が短縮されます。
MOIST WOUND HEALING という考え方で数多くの被覆材が開発されています。

医療機関では

・デブリドマンによる壊死組織の軽減と創底の血流改善
・感染制御
・過剰な滲出液の軽減

を目標に創傷のケアを行いますが、急性期と慢性期の創傷では若干ケアの方法が異なります。
スポーツ外傷では急性期のケアが主となりますので急性期のケアを中心に解説させていただきます。

まず、その前に簡単に傷の治癒する仕組みを解説しましょう。

 

 

浅い皮膚欠損創は露出した真皮に表皮細胞が覆うことで傷は治癒します。
この時、表皮細胞は毛孔から移動・分裂して露出した真皮を覆います。また周囲の表皮細胞からの移動・分裂もあり毛孔が残存している浅い傷は、適切なケアを行えば数日で完全に治癒するケースがほとんどです。

深い皮膚欠損創(皮下脂肪組織や筋肉、骨に到達するもの)では肉芽組織が出現して周囲の表皮細胞の移動・分裂が起こります。肉芽組織は収縮する性質があり欠損創が少しづつ収縮して創が閉鎖されていきます。

縫合創では
1:創部の血小板が活性化され凝集して止血が起こる
2:白血球(好中球)が組織内へ浸潤
3:マクロファージが組織内へ浸潤
4:表皮細胞が創面を覆う
5:線維芽細胞がコラーゲンを産生
6:毛細血管が増殖

創面には血小板をはじめ多くの細胞が集まってきて細胞成長因子を分泌して傷を治そうとします。
創面がジュクジュクしているのは化膿しているのではなく正常な創の治癒過程であることをしっかり認識すべきです。
創面を閉鎖して湿潤環境を保てば、細胞成長因子がどんどん出現して短期間での治癒が可能となります。

 

 

創面では細胞培養と全く同じ現象が起こっているのです。
培地は傷表面、培養液は滲出液です。
培養には必ず培養液が必要です。
培養液がないと細胞は死滅してしまいます。
つまり創面は決して乾かしてはいけません。
ガーゼを直接創面へ当ててはいけないのです。


創の処置で特に重要な事項についてご紹介します。

1:洗浄
傷を負った直後に真っ先に行うべきケアが止血と洗浄です。
特に洗浄は異物混入による感染のリスクを軽減するので入念に行うべきです。
傷の奥深く異物が混入していたり多量の泥や砂、ガラスが混入している場合は速やかに専門医療機関へ送り適切なデブリードマン、ブラッシングなどの処置を受けるべきです。この場合は麻酔が必要なことが多いでしょう。
洗浄は清潔な生理食塩水でと医学書にも記載されていますが、これは全く根拠が無く、洗浄は水道水で十分です。
水道水はどこにでもあるものであり早急にケアができるのでどんな場面でも対応可能ですね。
清潔な精製水や生理食塩水で洗浄しなくてはいけないことはありえません。
水道水との優位差は一切ありません。

2:消毒
消毒薬ポビドン・ヨード(商品名イソジン,ネオヨジン,マイクロシールド)のうち,イソジンが一般的なスポーツや医療現場で消毒薬として頻繁に使用されているようです。
いかなる消毒薬も傷に対して治癒を促進する効果は一切ありません。
しかし、イソジンの殺菌作用はヨウ素の酸化力により、その殺菌力は細菌にだけ有効なのではなく,生体細胞全般に分け隔てなく作用し傷を治癒させるために必要な細胞も殺します。
イソジンンの細胞毒性はすでに各論文で明確になっています。
細菌と何かの有機物が共存していれば,イソジンの殺菌力は低下します。
化膿している傷は有機物だらけですので膿だらけの傷,出血している傷ではイソジンの殺菌力はかなり低下して添加物による細胞毒性は残存しています。
となると,傷を消毒すると言う行為は,殺菌のためではなく傷を感染させやすい状態を作り傷の治りを悪くする行為に他なりません。
消毒ではなく傷毒なのです。
マキロン、キズドライ、オキシフルなどの消毒薬も同様です。
医療現場ではクロルヘキシジン(ヒビテン、マスキン)はアナフィラキシーショックで多数の死亡事例も報告されています。

今沢 隆ら:グルコン酸クロルヘキシジン使用後にアナフィラキシーショックを起こした
1症例. 日形会誌, 23; 582-588, 2003

傷の治りを悪くするだけでなく大きなリスクの可能性もあり、痛みも増強する消毒は絶対に行うべきではありません。
一刻も早く傷を治して競技に復帰したいアスリートにとって傷の消毒は百害あって一利無しなのです。
子供達も消毒の痛みに激しく怯え、泣き、トラウマになってしまうかもしれません。
自宅に備えてあるマキロンやオキシフル、イソジン、キズドライはすぐにゴミ箱へ捨ててください。
使用する機会はもう無くなります。
幼稚園や学校で消毒されたら 先生に伝えましょう。
絶対に子供に消毒させないでほしいと。
消毒は現代医学で傷のケアには否定された治療法であると。
勉強されている幼稚園の先生や学校の先生は必ずその申し出に優しくかつ迅速に対応されるはずです。
子供達に傷には水道水ですぐ洗えば大丈夫、消毒は絶対禁止と・・・
子供達は口々に唱えるでしょう。
私の子供の通う幼稚園もこの申し出に即座にご対応され 正しい傷のケアを幼稚園全体で取り組まれました。
安心して子供を通わせることができる素晴らしい幼稚園です。
私の20年以上の臨床経験で傷を消毒しなくて感染症が発症したり傷の治癒が遷延した事例は皆無です。
毎日、ガーゼの張り替え、傷を消毒して治癒が遅れ競技に支障をきたしたアスリートの事例を数多く診てきました。これらの行為はアスリートの選手生命を脅かすこともあるのです。

3:ガーゼ
傷に直接ガーゼを当てたらどうなるのでしょうか?
ガーゼを傷に当てることで感染が防げたり、傷が早く治ったり、痛みが軽減することはありません。
唯一、効果があるとすれば一時的な止血ができるだけです。
傷にくっついたガーゼをはがすとき出血を起こしせっかく治るための細胞が集まってきた場を乱暴にもむしり取ることになります。
ガーゼを当てると血液がガーゼに吸収され、傷が乾燥してせっかく傷を治すために現れた細胞を死滅させます。
ですから傷へガーゼを直接貼るという行為は絶対に行ってはいけません。
ガーゼは創面の破壊材料なのです。
傷の保護という目的であれば食品用サランラップを傷に直接当てその上からガーゼを当てるケアが最も単純で短時間で可能です。
傷にはそもそも周りの皮膚から常在菌が入ってくるのですから清潔なガーゼを当てるという行為も医学的根拠がありません。


4:湿潤ケア
傷は乾燥させないことが最も大切なケアの一つです。
これは縫合創でも同じです。
以前は、早く乾かして瘡蓋を作らせることが傷ケアのゴールドスタンダードのように言われていましたが、傷の乾燥は確実に創傷治癒を遅らせます。
医療機関へ行くほどでないと考えられている傷もケア次第では感染が起こったり、強い痛みで競技が継続できなくなったり、いつまでも傷が治癒しなくて精神的にもストレスを感じたり、やっと治ったと思ったら醜い傷跡で悩むこともあります。

5:入浴
入浴により治癒が遅れることはありません。
美容外科医としてこれまで多くの外科手術を行ってきましたが患者様を入浴制限させていた時より翌日から入浴させ創面を軽く洗浄するように指示してからの方がはるかに創面の治癒期間が短縮されキレイに治るようになりました。
出血が止まっていれば翌日からの入浴、シャワーは可能です。
頭部の外傷でも翌日から傷を直接刺激しないようにシャンプーによる洗髪も可能です。
怖がって創面を洗わないとかえって不潔になり汚物が溜まって感染源にもなりうるのです。


スポーツ選手だからキレイに治す必要はないと考えている指導者はいませんか?

傷がキレイに治ることは、早く、痛みが少なく治ることです。
ですからスポーツ選手の傷はキレイに治すべきで、傷はスポーツ競技の勲章などと考えてはいけません。
正しい、ケアの方法を知って適切に処置すれば

1:極めて少ない痛み
2:短期間で傷が消失
3:キレイな傷痕

として傷が治ります。
まず、競技現場でコーチや関係者が簡単に処置できる傷のケアをご紹介しましょう。

1) 水道水で傷をよく洗浄する。この際、絶対に消毒しない。(他人の傷の処置をする時は必ずディスポの手袋をご使用ください)
2) 出血があれば圧迫して止血する。この時、ガーゼによる一時的止血での使用はよい。
3) 準備ができていれば ハイドロコロイドドレッシング材(市販のものはバンドエイドキズパワーパッド、ビジダーム)で覆う。もしなければ食品用サランラップを当てその上からガーゼで保護してテープで固定。この場合、ワセリンが準備してあればワセリンを傷に塗ってその上からサランラップで覆うとよいでしょう。
4) 翌日、傷の状態を確認してサランラップを張り替える。(ジュクジュクしていても決して傷を乾燥させてはいけません。)

 

 

現在では医療用の創傷被覆材と同じものが薬局で市販されていますので、必ず準備しておくことをお勧めします。


代表的な医療用創傷被覆材の種類

 1) ポリウレタンフィルム・ドレッシング材

商品名でいうと,テガダーム(3M),オプサイトウンド(Smith & Nephew),IV3000(Smith & Nepnew),バイオクルーシブ(Johnson & Johnson)などがある。

片面が粘着面となっている透明なフィルムで,水蒸気や酸素が透過でき,中が蒸れないようになっています。
出血を伴わない創面,あるいは水疱の保護,褥瘡の予防などに使われます。

 2)ハイドロコロイド・ドレッシング材

商品名ではデュオアクティブ(Convatec),コムフィール(コロプラスト),テガソーブ(3M),アブソキュア(日東メディカル)など。
シート状になっていて,外側が防水層,内側が親水性コロイド粒子を含む粘着面になっています。
外側の防水層により外気から遮断されます。水性コロイド粒子は浸出液を吸収することで湿潤したゲルとなり,この湿潤環境が肉芽増生,上皮細胞の移動に最適の環境を提供し、外気中の酸素を遮断するため,代償的に創部の毛細血管形成が促進されます。

創面のコロイド粒子がゲル化するため,創面に癒着することはありません。

新鮮外傷での使用、指のように円柱状の部位の皮膚欠損では,創面に適合しやすい薄いデュオアクティブが非常に有用で貼っていても目立ちません。

3)ポリウレタンフォーム・ドレッシング材

商品名ではハイドロサイト(Smith & Nephew)。
一番外側が水分を通さないポリウレタンフィルム,一番内側が非固着性の薄いポリウレタンで,これらに厚い親水性吸収フォームが挟まれています。
中層は高い吸水性を持ち,浸出液を吸収し,かつ適度の水分を保持し創面の湿潤環境を保ちます。
ドレッシング材自体が溶けないため,浸出液の多い創面がよい適応。
指尖部損傷に威力を発揮します。ハイドロサイトで指尖部を覆うと,ドレッシング材自体に厚みとクッション性があるため痛みが軽減します。

 4) アルギン酸塩被覆材

商品名ではカルトスタット(Convatec),ソーブサン(アルケア),アルゴダーム(メディコン),クラビオAG(クラレ)など。
海草のコンブから抽出されたアルギン酸塩を繊維状にして不織布にしたもの。
アルギン酸は自重の15~20倍の水分を吸収し,浸出液などのナトリウムイオンを含む水分を吸収するとゲル化。このゲルが創面の湿潤環境を保ちます。

ゲル化する際にカルシウムイオンを放出することで極めて強力な止血効果を有します。

指尖部切断のように通常の圧迫ではなかなか止血しない場合でも,アルギン酸塩で被覆して密封し,患部を挙上しておくと容易に止血可能です。
この被覆材は「出血を伴う皮膚欠損創」には最適であり,受傷直後の処置はこれだけで十分。

 5)ハイドロジェル・ドレッシング材

商品名ではジェリパーム(竹虎),ニュージェル(Johnson & Johnson),イントラサイト(Smith & Nephew),グラニュゲル(Convatec),クリアサイト(日本シグマックス)など。
親水性ポリマー分子が架橋を作り,マトリックス構造をとり,その中に水分を含んでいます。
水分量が製品ごとに違っています。水分量も97%というものから60%程度と様々です。
通常は,フィルムドレッシングで密封して利用します。

この被覆材が最も効果を発揮するのは滲出液が少ない「乾燥気味の開放創」。
また,深い陥凹となっている開放創にも利用でき、組織欠損を伴っている創をこの被覆材で充填し,密封すると急速な肉芽増殖が起こり,陥凹がかなり早く肉芽で平坦化します。


医療機関での傷の処置と考え方

 私のクリニックには一般のアスリート以外にも多くの格闘技の選手が試合後の傷の治療で訪れます。
その中でも打撃系の格闘家であるプロボクサー、キックボクサーの傷は切創、挫傷が多く縫合を必要とするケースがほとんどです。
この場合、傷のケアの方法により傷の治癒期間、その後の選手の競技パフォーマンスに大きな影響を与えます。
切創は単純に縫合した場合と真皮縫合を行った場合では、外見は同じでも真皮での組織の治癒には大きく差がみられます。
アスリートではない一般の方の場合は、真皮縫合を行わない場合もありますが、打撃系の格闘家の場合には傷の部位にパンチが当たって傷口が開けばTKO負けになることもあり、傷の補強が必須です。
一般に真皮層まで含んで傷の完全治癒機転が終了したと考えられるには2年、最低でも半年の期間を要します。
その間、傷に外力が作用すると容易に傷は開きます。
このため真皮縫合が大切な傷のケアになります。
 また、傷の縫合で不十分な場合は血腫が 発生し感染が生じると周囲の組織が壊死して治癒機関の大幅な遷延が生じることがあります。
現在、私はJBC認定のプロボクシングトレーナーとしてプロボクサーのトレーニング指導やケアを担当しておりますが、試合中の怪我をしても試合後、直ちに適切な処置を行えば驚くほど短期間で傷が癒えます。
セコンドとして試合中から選手のカットした傷口の診察、ケアも行いますが、試合後の正しいケアはプロボクサーとしての大きく選手生命に影響を及ぼします。特に世界レベルの選手はわずかな傷のケアのミスで選手生命が終わることもあり得るのです。
真皮に至る完全なる切創の治癒には3カ月程度では不可能です。
3か月ほどで次の試合を控えたプロボクサーにとって単純縫合では正しい傷のケアとは言えません。
傷のケア一つで大きく選手生命が変わってしまうことを選手、指導者、治療を担当する医師の認識が必要です。

バッティングによってカットしたプロボクサーの傷の治療例はこちら..>>

 縫合創の消毒は行いませんし、直接ガーゼも当てません。アルギン酸塩被覆材で覆いその上からフイルムドレッシング材を貼ります。
顔の縫合創は原則として5日目に抜糸、その他の部位は1週間で抜糸。(通院不要の場合がほとんどです。)
入浴は受傷翌日から許可。
患部を水に触れさせてはいけないという理由はありません。
水に触れることで傷の治癒が遅れることも感染することもないのです。
傷に対して垂直方向の外力が加わるような日常生活での姿勢や運動は控え創部の安静を保たせるようにします。
縫合後の患部を怖がって全く洗浄しないと垢や汚れが付いてかえって細菌叢の繁殖になります。
出血をしていない限り入浴やシャワーでの創面の洗浄は治癒を遅延させるどころか治癒促進になります。
20年間の外科・美容外科医の経験から確信しています。
大学病院でも手術後,創部に毎日消毒したりガーゼ交換を行う 誤った治療を行う医師が存在します。
自分の身は自分で守らなくてはなりません。
こんなことをされたら傷はますます治らず痛みも増強し傷跡も汚くなってしまうのです。
勇気をもって担当医に伝えてください!

先生!消毒をするのは止めてください。ガーゼも当てないでください。
すぐに入浴させてください。・・・・・と。

医師はいつも正しい医療行為を行っているとは限らないのです。
創には消毒ガーゼ。入浴禁止というありえない治療行為を繰り返す医師が多数存在するのです。

このように医療機関での正しいケアも大切です。


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この創に消毒ガーゼは必要でしょうか?
入浴は禁止する必要があるでしょうか?

他医療機関にて腋臭症手術後 壊死を起こし 1ヶ月間毎日消毒へ通院されていた症例。

創口が閉鎖しないという理由で当院受診。

いわゆる医原性難治性潰瘍です。
繰り返された消毒ガーゼ処置により創面が閉鎖できなくなっています。

消毒も不要ですし、ガーゼも創面へ直接当ててはいけません、入浴もシャワーもすぐに可能です。
むしろ創面をシャワーで壊死物質が付かないように洗浄するべきなのです。
1か月以上もの患者さまの苦痛を誰が考えるのでしょうか?

医療機関でも傷のケアが間違えればますます傷は治らなくなってしまいます。


正しい創傷治療法を多くのスポーツ指導者ならびに学校関係者、医療従事者、お子様を持たれている保護者の方々にも広く普及することを願っております。

本誌読者の皆様には正しい傷の処置をこの誌面をご参考に実践し普及していただけますこと心より願っております。

http://www.wound-treatment.jp/next/sengen.htm
素晴らしいホームページです。

<参考文献>
水原章浩:傷の正しい治し方 PART 2 そこが知りたいラップ療法実践編 :9-23
五十嵐敦之:創傷被覆材をどう使うか、Derma.132:121-127
福田和義:色素性母斑の炭酸ガスレーザー治療にハイドロコロイドドレッシング材を併用した場合の美容皮膚科的有効性、Aesthetic Dermatology Vol.18:25~29、2008

正しい傷・やけどの治し方

大切なわが子を 誤った治療から守るために!

傷治療のプロフェッショナル 美容外科専門医からのアドバイス


日常の場では、子供達の傷・やけどに数多く遭遇することがあると思います。

私の子供の時も同様でしたが、傷にはすぐ消毒ガーゼ、乾かしてできる限り早くかさぶたを作らせる・・・毎日、病院で消毒へ通う。という処置を強制的に行われてきました。

このような傷に対する誤った処置を医学が進んだ現在も、いろいろな場面で行われている現状が残念に思います。

私の20年の外科医・美容外科専門医としての経験からいいましても

1:傷は絶対にマキロンやキズドライ、イソジンなど消毒薬で消毒しない

2:傷にガーゼを当てないこと

3:受傷直後は、水道水の洗浄を行い ハイドロコロイド材で覆う(ハイドロコロイド剤がない場合は、食品用サランラップで覆うだけでOK)

といった応急処置で必要十分です。

子供の傷にいきなり消毒薬を塗布されますと 強い痛みから子供が恐怖心を与えるだけでなく傷跡の治りも大変悪くなります。

消毒薬による組織障害性」とか「創傷治癒を阻害するとか」といくら説明しても、患者さんは理解してくれません。このように説明しても、患者さんにとって何がメリットであり、何がデメリットなのかがわからないからです。

湿潤療法(うるおい療法、閉鎖療法)にはさまざまなメリットがありますが、患者さんが真っ先に実感するのは「痛くないこと」です。つまり、「痛くないこと」を患者さんに自覚してもらうことが、湿潤療法(うるおい療法、閉鎖療法)の凄さを理解してもらう第一歩です。

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まず、受傷当日は患者さんもびっくりしていますから、どさくさにまぎれて「消毒なし、被覆材で密封」します。患者さんは「新しいガーゼだな」くらいにしか思わないはずです。

勝負は翌日です。次の日に外来に来たら、「昨日は痛かった?」と聞いてください。ほぼ間違いなく、「痛くなかった」という答えが返ってくるはずです。この「痛くなかった」を足がかりに、治療法を説明します。

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「痛くないの、不思議でしょう? なぜ痛くないか、その理由、知りたい?」と誘導します。そこで興味を持ってくれそうだったら、

「痛くなかったのは消毒をせず、空気に触れないようにしたからなんですよ。空気を遮断する最新の治療材料を使ったから 痛くなかったんですね。でも、空気に触れさせたりガーゼをあてたりすると、傷の表面にカサブタができますよね。しかも痛いだけじゃなくって、傷の治りも悪くなっていたのです」

そして、追い討ちをかけるように、

消毒すると、傷にしみるでしょう? 痛かったでしょう? あれは傷口を痛めつけていたから痛かったの。しかも消毒すると、キズが治るのが遅くなるのですよ。痛くて治らない方が良かったら消毒するけど、どうしますか?」

これは本当のことです。傷に消毒をする医師は、傷に対する正しい知識やケアが欠如しているのですね。

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そして手の外傷の患者さんだったら「一日手を洗っていないから、気持ち悪いんじゃないですか? 実は、洗ってもいいのです。傷を濡らしちゃいけない、というのはどうも、日本だけのようです。外国では洗うのが普通なんですよ。絶対に痛くないから、洗ってみませんか。気持ちいいですし、洗った方が早く治りますよ」と水道に誘導。この時、精製水でなくても全く問題ありません。水道の水でOKです。

まず、キズとは関係のない部分の汚れを洗い落とし、キズの部分に少しずつ水をかけます。恐らくそんなに痛くないはずです。ここでさらに「痛くないでしょう? これが最新理論に基づく(とまた嘘をつく)治療の威力です」と説明。

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ご家庭でも幼稚園でも小学校でも中学校でも高校でも会社でも 傷には消毒をしてはいけないのです。

消毒ではなくて傷毒になってしまいます。私が作った造語ですが・・・

20年の外科医としての経験から傷に消毒をしなくて感染がひどくなったケースはありませんし、消毒をして早く傷が治ったケースもしりません。

私は昔から患者さまへの傷のケアとしまして美容外科手術後の傷には消毒禁止、すぐにもシャワーをあててキレイにすることをお勧めしてきました。

ワキガ手術後、でも形成手術後でもそうです。

傷にとって何よりもよいことは、受傷直後の汚れは水道水で流してすぐに保湿してあげることです。(特別なドレープ材は不要です。食用サランラップを当てるだけで十分なのです。)軟膏も不要です。

軟膏には不要な刺激剤も含まれていることが多いのです。ましてクリームなんか傷につけてしまうことは最悪です。絶対に行ってはいけません。

可愛いわが子を誤った傷の処置による被害から守るのは 親しかいないのです。

このコラムであなた様の可愛い、可愛いお子様は、怪我の恐怖からきっと救われることでしょう!

 

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