スポーツコラム



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トップアスリート グアム強化合宿

毎年 1月にレオパレスリゾートグアムで開催されます 国内のトップアスリートが勢ぞろいしました強化合宿に昨年より参加しています。
この合宿は、10年以上前から阪神タイガース桧山進次郎選手と 現在、石川遼選手 専属ストレングストレーナーでもあります 仲田健氏が2人でスタートしたものです。
仲田健氏が指導するトップアスリートたちが年々、続々と参加を希望され現在では 多い時には20名ほどの有名トップアスリートが合同でトレーニング合宿を行うようになりました。
昨年から、の紹介で全日本ロードレース選手権 2010年王者の秋吉耕佑選手も参加し仲田健氏指導の下、過酷なトレーニングをスタートしました。
昨年は世界王者 名城信男選手をはじめ多くのプロボクサーが参加していましたが、今年は名城選手の世界タイトルマッチが近づいたためプロボクサーの参加はありませんでした。
トップアスリートにとって過酷なトレーニングですが、とりわけプロボクサーにとっては地獄の合宿となります。
今回、1月5日から約2週間合宿が開催されていましたが、一部のプロゴルファーを除いては1週間ほどの参加となった選手がほとんどでした。
阪神タイガース 浅井良捕手、2009年 GT王者 レーシングドライバー 脇阪寿一選手、インディ・カーシリーズで活躍した 松浦孝亮選手、トッププロゴルファー、柔道オリンピック3連覇 野村忠宏選手も参加されました。
私は、10日から15日まで参加させていただきトッププロのトレーニングを一部体験し見学させていただきました。
初日には、トレーニング後、アスリート全員でソフトボール大会が開催されました。
ほとんど球技の経験のない選手も素晴らしい運動神経と身体能力で特別なパフォーマンスを魅せつけていました。
やはり中でも現役プロ野球選手の 桧山進次郎選手や浅井良選手の打球のスピードと飛距離は目を見張るものがあり、トッププロの凄さを目の当たりにすることができました。
トップアスリートのソフトボール大会

参加2日目である1月12日 夕方から なんとビッグなサプライズが!
グアム全メディアが、MOTO GPレーシングライダーでもあります 秋吉耕佑選手がグアム入りしたことで記者会見を開いてほしいとの要請で急遽、記者会見にトレーナーでもあります私と臨むことになりました。
グアム最大のバイクショップのショールームで特設インタビュープレイスを作っていただき 地元新聞最大手 パシフィックデイリーニュース、テレビ局、Lsland Times などグアムの全メディアの取材を受けました。
パシフィックデイリーニュースは2日間にわたり秋吉選手のグアムでのトレーニングに関する報道があり 米国でのモータースポーツの関心の高さに驚きました。
グアム取材
秋吉耕祐選手のトレーニング取材風景


Guam - Kousuke Akiyoshi, a professional rider for Team HRC/TRS Honda in Japan and the 2010 JSB 1000 (Japan Super Bike 1000 class) Champion and Test rider for MotoGP Repsol Honda Team is on Guam training and conditioning at Leo Palace Resort Guam for his upcoming races in 2011

密度の濃い取材が 1時間半続きました。
3日目、元体操オリンピック日本代表候補で女子プロのプロゴルファーの選手のトレーニングを見学し体験しました。
体幹トレーニングと言われる、石川遼選手の肉体改造を行った過酷なトレーニングです。
ウエイトトレーニングとは異なり、畳半畳ほどのスペースでバランスボールやポールを使用して腹筋や背筋、身体の回旋運動、などを行います。


よく、1日腹筋を1000回行っていると自慢するアスリートがいますが、単純な腹筋運動ではそれほどの負荷がかかりません。
また、単純な腹筋運動の大きな欠点は、腹直筋のみが鍛えられ腹斜筋や腹横筋がほとんど鍛えられないことにあります。
腹筋群を構成する一つの筋肉だけ過剰に鍛えることは運動パフォーマンスを向上させるうえで必ずしもメリットになりません。
腹筋を鍛えるトレーニングは実は無数にあります。
ポールの上で不安定な体制で腹筋をゆっくり行う方法は、100回ほどの腹筋ができる方でも1回行うのが至難です。スタックポジションといって反動で腹筋を行わないと止まってしまうポジションがあります。
運動の盲点と言えるポジションです。
アスリートはあらゆる動きにスムーズに対応できなければなりません。
不安定でゆっくりした動きは本当に大変です。
仲田健氏が運動力学や運動生理学を考えたうえで進化させたトレーニングはまさしく目からうろこ・・・と言えるでしょう。
競技特性を考えてトレーニングすることも大切です。
持久力が必要な競技なのか、瞬発力が必要な競技なのか?
下半身を固定する競技なのか?下半身を動かす競技なのか?
個人個人がトレーニングメニューが異なりますが、現在では体幹を鍛えぬくことはほとんどすべてのアスリートにとって重要です。
インナーマッスル、体幹筋群は安定した姿勢を維持する機能があり 重心のブレを少なくします。
全てのスポーツで重心のブレをなくすことは重要です。
プロゴルファーにとってここまで過酷なトレーニングが必要なのかと考えさせられました。
どんな状況でもどれだけボールを打っても安定した姿勢とバランス。
この能力を身に着けるためには徹底した体幹トレーニングが大切です。
石川遼選手が活躍するキーポイントがここにあったのです。
体幹トレーニングをする秋吉耕祐
体幹トレーニングを行う有名レーシングドライバー

次にプールでのトレーニングがスタートしました。
水の抵抗を利用した過酷なトレーニングです。全力で水をかいて負荷をかけます。
上腕をパートナーが固定して前腕を前後、左右、上下に全力で往復30回動かします。
これを3セットずつ。
さらに動きを変えて往復30回を3セット。
脚も同様のトレーニングを繰り返します。
見た目以上にキツイトレーニングです。
途中で気分が悪くなったり脚がつって動かなくなったアスリートが続出しました。
動かそうと身体をもがいても動かすことができなくなるまでこのトレーニングが続きました。
ほとんど休憩なくトレーニングは続きます。
過酷な水中トレーニングを行う野村忠宏選手
過酷なプールでの水中トレーニング
このトレーニング後、ほとんどのアスリートが顔面蒼白になりしばらく動かなくなりました。
いわゆる酸欠状態です。
急激な運動で筋肉内の血管が拡張し血流が増加して脳への血流量が減少したために起こる現象です。
さすがのアスリートもダウン。

最終日、阪神タイガース 代打の神様と称され 今年で42歳になる桧山進次郎選手のトレーニングを見学しました。
ウエイトトレーニングが主体ですが、これもキツイ。スナッチ230キロを以前は行っていたそうですがさすがに最近では負荷を半分にしてウエイトトレーニングを行っているそうです。
過酷なウエイトトレーニグを行う 41歳 桧山進次郎選手
1時間休みなく繰り広げられる極限までのウエイトトレーニグに 彼が42歳まで現役プロ野球選手を続けられる秘訣を実感しました。
多くのメディアが彼に いつになったら 桧山選手はやめる時と考えていますか?
と失礼な質問を投げかけました。
桧山選手は、質問がおかしい。と私に話されていました。
いつ辞め時かを問うのではなく どうしたら40歳を過ぎてもまだ現役プロ野球選手として活躍できるかがほかのアスリートや皆が知りたいことではないか?
どうしてネガティブな質問ばかりするのか?
もっと大切なことは、平均寿命が6年ほどと言われるプロ野球選手の寿命が20年も現役で活躍できるトレーニングや生活などを聞いてほしい・・・
さすが球界の盟主 桧山進次郎!
10年以上、メディカルトレーナーを務めさせていただきコンディショニングやケアのお手伝いをさせていただいてきましたが、この言葉を聞いて感動するとともに光栄に思いました。
また、アスリートの姿勢についても彼は私に話してくれました。
ここ、レオパレスリゾートでは有名アスリートがオフのトレーニングで多数訪れるが挨拶もまともにできないアスリートがいる。と。
毎年のように訪れていますサッカー元日本代表の某選手に桧山選手が目が合ったので こんにちは!と挨拶したところ無視されたそうです。
これには温厚な桧山選手もかなりご立腹。
同じトレーニングジムではドラゴンズの森野選手やソフトバンクホークスの松中選手らは桧山選手を見かけると駆け寄って しっかり頭を下げ、こんにちは!よろしくお願いします。と挨拶されていました。
競技が異なっても年齢が上のアスリートは目上の存在。
そのアスリートに対し礼を尽くすのがスポーツ界の常識というより社会的常識です。
アスリートはアスリートである前に社会人でなくてはいけないと思います。
仲田トレーナーも桧山選手も私もこの話でかなり熱く話し合いました。
レオパレスリゾートグアムの宇野マネージャーも挨拶がまともにできないアスリートたちもいると語ってくれました。

仲田トレーナーも数多くのトッププロを指導させていただきましたが、サッカー選手は一人もいません。
サッカー選手の礼儀がなっていないというわけではありませんが、挨拶や目上の先輩に対する口のきき方、インタビューの受け方がすこし問題がある選手が少なくないと感じております。
世界的なスポーツであるサッカー選手こそアスリートのお手本となる礼儀が必要だと思います。

今後、サッカー選手を指導させていく機会がありましたらまず トレーニグより挨拶や礼儀、社会人としてのアスリートであるべきと一緒にお話ししたいと考えています。
仲田トレーナーの素晴らしい点は過酷なトレーニングを指導する前に アスリートとしての社会人としての在り方を指導できる指導力です。
本当に共感しました。

最終日、野村選手のトレーニングの見学を行いました。
トレーニグ前、野村選手に依頼して 自律神経機能の測定を行いました。
自律神経機能計測を行う野村忠宏選手
私の大学院での研究分野です。
トップアスリートの自律神経機能は抜群に高いレベルにあります。
特にリラックスの神経と言われる副交感神経機能が一般の方に比較して高いレベルにあります。
野村選手の測定結果...
おかしい?
一般人レベル、しかも副交感神経機能が低下している。
どうして?
よほど疲れていますか?と尋ねると仲田トレーナーに遠慮して。少し...
データから判断するとオーバーワーク気味。
しかし、過酷なトレーニングがこの後すぐにスタートしました。
体幹トレーニング、1時間以上。
これでぐったりした野村選手ですが休む間もなく プールでの水の負荷をかけた厳しいトレーニング。
世界一の柔道家と日本一のフィジカルトレーナーの鍛えぬいた肉体
こんなキツイトレーニングするくらいなら もう引退した方がエエ。
と本音?も漏れるくらいのトレーニングでした。
トレーニグ終了後、プール遊びしようと仲田トレーナーが5メートルの水深のプールに連れて行き他のアスリートと宙返りを行いました。
するとプールの底に手をついて戻ってこれる?
と野村選手に潜水を指示。
結局、休みなく5メートル潜水を行う羽目になりました。
これは心肺機能に多大な負荷がかかるキツイ運動です。
さすがに野村選手も気分が悪くなったようでした。
アジア人初のオリンピック3連覇の偉業を成し遂げた身体能力を持つ野村選手もキツイトレーニングは少しだけ苦手な人間でした。
オリンピック3連続金メダル。
国民栄誉賞に輝くべき偉業ですが、周囲の評価は低いようです。
彼の苦悩が伝わってきました。
マスコミがストーリーを重視したり見栄えのするパフォーマンスを重視するあまり 本来のアスリートの結果としての評価を忘れてしまった。



マスコミが勝手にストーリーを作り上げて感動を作っている場面も少なくないようです。
地味で地道で過酷なトレーニングは派手なパフォーマンスより尊いと思います。
4度目の五輪で金メダルを目指そうと始動した野村選手は本当に素晴らしいと思います。
彼のあくなきチャレンジの裏には、アスリートを正当に評価してくれ!というメッセージが隠れているのかもしれません。
頑張れ!!日本!!野村忠宏!!

今回も多くのアスリートと一緒に時間を過ごし貴重な体験をしました。
この体験が微力ながらも今後のスポーツ界にお役にたてる研究の原動力になりますこと願っております。

秋吉耕祐エアナジー 脇阪寿一選手 名城選手

全日本ロードレース2010年総合王者 秋吉耕佑選手 レース前にエアナジーで呼吸法を行う。

エアナジーで呼吸法のトレーニング、コンディショニングを行う HEAT ミドル級王者 K1戦士 ダニロ・ザノリニ選手

自律神経機能検査を受け呼吸法の説明を受ける レーシングドライバー 脇阪寿一選手

プロボクシング世界王者 名城選手の自律神経データサンプリング風景

       

命を懸けて闘うアスリートの物語

格闘家の皆さんも命を懸けて闘う自負がある方がほとんどだと思いますが、格闘技以上にリスクが大きく毎年死亡事故が報道されるプロスポーツ、オートレース。

国内最高峰の二輪レースである JSB1000に参戦し奇跡の逆転優勝を果たし 2010年総合王者に輝いた 国内最速ライダー 秋吉耕佑の取り組みをご紹介させていただきます。
他業種のアスリートたちがいかに命と向き合いぎりぎりの世界で闘っているか。

是非、知っていただきたく今回は 命を懸けて走る 最速の男  秋吉耕佑 をご参考にしていただけましたら幸いです。
今年、ショッキングなニュースが海外から飛び込んできました。

ご存知の方も多いと思いますが、2010年9月5日、ミサノで開催されたMOTO2第12戦サンマリノグランプリ MOTO2初レースで優勝を飾った富沢祥也選手が200キロを超えるハイスピードの状態でコース側に転倒し後方を走行していたバイクに引かれて死亡するという痛ましい事故が発生しました。19歳の若さで命を失われました。詳細な死因は明らかにされていませんが、治療を担当した医師が記者会見で語ったところによれば、転倒直後に2台のマシンが高速で衝突したことによる大動脈破裂が直接の死因のようです。頭部への外傷はなかったものの首・肩・腰・大腿骨などを骨折していました。

秋吉耕佑( あきよし こうすけ、本名:秋吉 弘亮、1975年1月12日)選手もこれまで走行中の転倒で命を失いかけたり、脱臼、骨折を幾度も繰り返していました。
秋吉選手は富沢選手の訃報を聞いて改めてこのスポーツのリスクを認識しました。
しかし、彼は富沢選手の無念を自らのエネルギーに変え彼の意志を受け継ぐべく闘いに挑む決意をしました。

2009年にも転倒で足の指の骨を骨折したり右肩を脱臼する重傷を負いましたが、完全に治癒しない状況でレースに復帰。
満身創痍でいつもライディングしていたのです。
しかし、2009年、私が彼のトレーナーを務めるようになってから コンディショニングと身体のメンテナンスケアの重要性を理解し定期的に指導をさせていただくようになって 意識も身体も大きく変化していきました。
以前のコラムでもご紹介したように2009年の鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2度の転倒にもかかわらず最速ラップを連発し最下位から9位。
最後まであきらめない最速の走りが秋吉耕佑の信条です

2009年は、ポールポジションを獲得し普通に走れば確実に優勝と評価されていました
しかし、プロとして彼は普通に走ることは考えていませんでした。
誰よりも速く、素晴らしいライディングを見せる。プロアスリートとしてのパフォーマンスです。

勝利を確信して判定勝利を狙い 打ち合いを避けるのではなくKO勝利を狙ってノーガードで目いっぱい打ち合う。 格闘家で言えば、格闘家の最高のパフォーマンスを見せるKOメーカーです。
転倒ギリギリの体勢で走り抜ける。最速のためにはいかなるリスクも厭わない。
まさしく真の格闘家の神髄を持ったレーシングライダーです。秋吉選手はMOTOGPマシーンの開発ライダーも務めています。モンスターマシーン開発にはテスト走行では時速350キロを超える速度での走行を行いマシーンの調整を行います。つまり安全かどうかまだわからないマシーンをぎりぎりの状態まで操作する大変危険な業務を行いながらレースへ参戦しています。
身体も精神も大きく消耗するプロ業務です。

今季は腰椎圧迫骨折の大事故によるリタイアのMOTOGP参戦中の青山選手の代役としてMOTOGPへも2戦参戦しました。(MOTOGPは二輪レース世界最高峰、四輪レースでたとえるなら F1です。)
闘うのは格闘家と同じように相手だけでなく自分です。最後は自分との闘いになります。
大けがをしても黙って闘う。怪我を言い訳にしない。痛みやハンディをエネルギーに変えて最高のパフォーマンスを見せつける。

本当にカッコイイスポーツだと思います。
広大なサーキットを時速300キロで駆け抜ける。初めて目の前で観戦した時は、その迫力とリスクに本当に驚きました。
モータースポーツでもライダーは際立ったバランス感覚と感性が要求されます。
2010年 昨年の雪辱を誓った秋吉耕佑選手。英国で活躍するジョナサン・レイ選手とのコンビでタイトル奪取を目指しました。

2010年も2009年同様 優勝候補筆頭
しかし、ペアライダーのジョナサン・レイ選手が転倒。
マシーンも修理に時間がかかり大きく出遅れました。
しかし、この後は2009年の再現でした。
ファーステストラップをたたき出し、トップを独走するチームライダーを何度も追い抜かす最高のパフォーマンス。
何と、転倒したにも関わらず3位入賞。
転倒しても表彰台というありえない奇跡を起こしました。
しかし、2010年 圧巻だったのは国内最高峰二輪レースJSB1000での鈴鹿最終戦でした。* JSB1000とは、全日本ロードレース選手権の最高峰のカテゴリ。JAPAN SUPER BIKE(全日本スーパーバイク)の頭文字を取ってJSBとしています。そこで走るバイク(オートバイ)は1000ccなのでJSB1000と言います。全日本ロードレース選手権のトップカテゴリだけあってレース内容もレベルが高いものとなっていて、予選から熱いバトルが繰り広げられます。ポールシッターが何度も入れ替わることも珍しくありません。日本で一番売れているスーパースポーツのバイクが勢ぞろいしているロードレースでもあり、見ていて興奮する人が多いと思います。

最速ライダーの称号をいつも手にしている秋吉耕佑選手は2007年鈴鹿8時間耐久ロードレースの優勝を最後にビッグタイトルからは遠ざかっています。
今季はJSB1000にフル参戦しどうしてもこのタイトル獲得を願っていました。
年始には、グアムで 仲田健トレーナー(石川遼選手専属トレーナー)阪神タイガース 桧山進次郎選手が主催する自主トレ合宿に参加しました。

2009年GT王者 レーシングドライバー 脇阪寿一選手、プロボクシング元世界王者 名城信夫選手、ほか、有名プロゴルファーなど国内のトップアスリートが最も多く集う 合宿に参加しトレーニングを敢行。
また、新しいコンディショニング法としてパワープレートを利用して身体バランスを整えました。
レース前にはエアナジーで自律神経機能を向上させ、ストレッチを全くやめて身体がよりスムーズに動くように最新のトレーニング法を導入しました。
セル・トレーニング(CELL TRAINNING)です。


これまでのトレーニングはウエイトトレーニング、加圧トレーニング、有酸素トレーニングなど運動生理学上、組織や器官を主に対象としたトレーニングでしたが、セル・トレーニングは細胞レベルの賦活を考慮に入れた新しいトレーニングです。
このトレーニングは、おそらく世界のスポーツのトレーニング理論を大きく変えることになると確信しております。

私が順天堂大学大学院医学研究科で指導教授である 小林弘幸教授と共同で独自に開発した身体に優しく身体能力を賦活できるこのセル・トレーニングを秋吉耕佑選手が実践して肉体改造を行いました。
セル・トレーニングの特徴は
1:ストレッチ
2:PNF
3:スロートレーニング
4:呼吸法(自律神経機能向上)
5:脳、神経、筋肉 賦活
6:温熱刺激

1から5を温熱刺激も加えて同時に行うエクササイズです。
また、サーモバンドという特殊な温熱バンドを使用して筋肉を温め血流を増やして効果的にトレーニングを行います。このため血流のみならず代謝も向上して細胞機能が確実に向上します。
順天堂大学医学部での 小林弘幸総合診療科の教授らの研究では40℃の温度での温熱効果が最も血流が増加し過度の過熱は逆に血流を阻害するといった実験結果も出ています。
つまり細胞機能を適度な温熱を加え賦活させるトレーニンであり 筋肉だけ、靭帯だけ、神経機能だけといった組織や器官のみを強化するのではなく細胞レベルで確実にこれらの部分が連動してミクロからマクロまでパワーアップできるこれまでにないトレーニング概念です。
アスリートはハードである肉体、特に筋力に重視を置いてトレーニングを行いますが、競技パフォーマンスを向上させるには筋力だけでは不十分です。

アスリートにとってソフトの部分である自律神経機能向上が必須でありこれと連動する心肺機能や脳が支配し神経、筋肉を連動させコントロールする機能が絶対に必要になってきます。
究極のトレーニングが セル・トレーニングなのです。

詳細は別号で紹介させていただきます。
今季からセル・トレーニングを導入した秋吉選手は2010年10月31日 奇跡を起こしました。
鈴鹿サーキットで開催された最終戦 2戦
これまでの闘いはタイヤの選択ミスやマシーンの電気系統の不調もあって身体はいつも最高のコンディションにも関わらず結果が伴っていませんでした。
最終戦直前ランキング4位で総合王者は困難と周囲が考えていた矢先、ランキングトップ 2008,2009年総合王者の 中須賀選手が転倒、ポイント喪失。

秋吉選手はいずれも予選トップタイムでポールポジション、決勝でも二レース目はウエットコンディションの中、ぶっちぎりの優勝。2戦連続完全優勝を果たしました。
見事、二戦連続優勝の大逆転でJSB1000 年間総合王者のタイトルを獲得しました。
最後まであきらめない最速の走りにこだわった結果でした。いつもKO勝利にこだわって満身創痍になって逆転KO。
やっと報われました。関係者は本人も含め涙で感激を味わったそうです。
おめでとうございます。
最後まであきらめない、気迫と心が必ず奇跡を生むと確信しました。
格闘家の皆さんも機会がありましたらお近くのサーキットまでぜひ、足を運んで二輪レースを観戦してみてください。きっと、闘うモチベーションがあがるでしょう。

HEATミドル級王者でK1戦士のダニロ・ザノリニ選手も応援に駆けつけたJSB1000 鈴鹿戦で圧倒的な走りで優勝
JSB1000最終戦 直前の 秋吉耕佑選手マシーンと一体化した最速300キロの走り
レース前コンディショニングレース前にエアナジーでコンディショニングを行う秋吉耕佑選手
極限まで進化した究極の最速マシーン国内最高峰二輪レースJSB1000 2010年 総合王者 秋吉耕佑選手

秋吉 耕佑  プロフィール

命ギリギリの走りのパフォーマンスを魅せる 国内最速ライダーとして最も注目を集めるライダー。
トップアスリート 株式会社 取締役
ホンダレーシング所属(2010年)世界最高峰二輪レースMoto GP開発ライダーとしてレブソルホンダのマシーンを開発中。
トップアスリート 株式会社 取締役として現役ライダーにして国内のトップアスリート支援、セル・トレーニング(Cell Trainig)など科学トレーニング開発にも務める。
自ら最先端の科学トレーニングを導入して肉体、自律神経の進化を表現しライディングパフォーマンスを高めている。

2007年、鈴鹿8時間耐久ロードレース 優勝。
2008年には日本ロードレースが行われる公式サーキットのすべてのコースレコードを更新。
2009年、鈴鹿8時間耐久ロードレース予選、トップテントライアルで唯一の2分7秒台の最速タイムでポールポジション獲得。
2010年、鈴鹿8時間耐久ロードレース パートナーの転倒にかかわらず驚異的な最速ラップでの追い上げで3位表彰台に、ロードレース世界選手権MotoGPもスポット参戦、世界に通用するトップライダーとして大きな注目を集めている。
2009年、2010年
鈴鹿8時間耐久ロードレースファステストラップ(最速ラップ)記録保持者
国内最高峰二輪レース JSB 1000 2010年総合王者。

秋吉耕祐エアナジー 脇阪寿一選手 名城選手

全日本ロードレース2010年総合王者 秋吉耕佑選手 レース前にエアナジーで呼吸法を行う。

エアナジーで呼吸法のトレーニング、コンディショニングを行う HEAT ミドル級王者 K1戦士 ダニロ・ザノリニ選手

自律神経機能検査を受け呼吸法の説明を受ける レーシングドライバー 脇阪寿一選手

プロボクシング世界王者 名城選手の自律神経データサンプリング風景

       

呼吸法こそパワーアップのカギ!!

戦闘員も宇宙飛行士もトップアスリートも呼吸法によるバイオフィードバックトレーニングで身体能力向上!!

アスリートの肉体をハードと考えるのであればソフトウエアは心と自律神経機能になります。
自律神経ネットワーク
運動を制御するのは大脳や小脳だけではありません。
自律神経が身体の細かい部分や多くの器官をコントロールして生体機能を保持しています。
私たちは、呼吸が唯一、自律神経機能を随意的にコントロールできます。
心拍も消化も発汗も瞳孔の動きも自分の意志ではコントロールできません。
呼吸は心拍変動を生み出し自律神経に大きく左右し副交感神経機能を向上させることが科学的に知られています。
この呼吸によるアスリートのトレーニングの手法はすでに軍事、宇宙開発、各種病気の治療にも導入されているすぐれた手法です。
私自身、これまで国内で最も多くのアスリートにこの呼吸法のバイオフィードバックトレーニングを指導させていただき驚異的な成果を得てきました。
もちろん、私の下を訪れた多くの格闘家もこのトレーニング方法でコンディショニングを行い素晴らしい結果を出してくれました。
バイオフィードバック(Biofeedback)とは、本来感知することのできない生理学的な指標を科学的にとらえ、対象者に知覚できるようにフィードバックして体内状態を制御する技術、技法です。

肉体的にも精神的にもストレスが加わる格闘技は、まさしく副交感神経機能を向上させ緊張の中にリラックス状態を作るトレーニングが必要なスポーツです。
ヒクソングレーシーもヨガによる呼吸法をトレーニングやコンディショニングに導入していることはあまりにも有名です。
アテネ五輪男子ハンマー投げ 金メダリストである室伏広治選手も呼吸法によるトレーニングを受けていたことは有名です。
武道に呼吸法。

しかし、これまでどうして呼吸法がアスリートの身体能力を向上させるかよく理解されていませんでした。
今回は呼吸法の実際よりもその仕組みを解説します。
現在、私は順天堂大学大学院 医学研究科でこの研究を進めています。

心拍数と血圧は、他の生理的システムと同様、健常人において複雑な変動パターンを示し、これらは複数の周波数振動で特徴付けられています。 これらの振動は、ホメオスタシスを反映しています。 RSA(呼吸による心拍変動)振幅を増加させる為のバイオフィードバックトレーニングでは、0.1Hz(1回の呼吸を10秒かけて行う)の付近でのみ心拍変動が最大化します。 このトレーニング目的を達成させる為には、ゆっくりとした呼吸で0.1Hz付近に呼吸数を合わせると、呼吸により引き起こされた振動(RSA)とその呼吸数で自然に発生する振動間に、一部圧受容体反射活動によって引き起こされる同調が起こります。つまり10秒で1回の呼吸(5秒吸って、5秒吐く)を行うことで心拍変動が最大となり自律神経機能が向上します。特に副交感神経機能レベルが向上します。
緊張した時にゆっくり深呼吸すると落ち着くのはこのためです。

RSAとは呼吸によって起こる心拍変動のことで心拍数は吸気で増加し呼気で減少します。 これは、心拍リズム変動メカニズムの内のひとつです。 呼吸に関係づけられる心拍変動は健常人においては通常0.15~0.4Hz(9~24呼吸数/分)の周波数帯で起こりこの周波数帯の心拍変動は、“高周波”心拍変動と呼ばれています。 同時に、0.05~0.15Hz(呼吸数3~9回/分)の周波数帯でも大きな振幅変動がみられます。この周波数帯での活動は“低周波”心拍変動を意味し、交感神経系および副交感神経系の両方の活動によって影響されます)。

RSA波の振幅は不安もしくはうつ病からくる情緒不安定によっても減少する傾向があります。 
心拍変動は老化によっても減少します。極度のストレスでも減少します。
つまり、老化により自律神経機能が低下していきます。
呼吸による健康法・・・実はここにポイントがあります。

それでは実際どうすればよいのか?

ロシアでは、バイオフィードバック技術を使って、RSAを随意的に非常に増大できるけんきゅが進んでいました。 又他のロシアの研究家達によって、バイオフィードバックトレーニングが、自律神経機能が関係する喘息や高血圧や種々の不安障害等の疾病治療に役立つことが報告されています。   Vaschillo(1984)は、人は低周波帯の特定の周波数、0.1Hzの辺りでのみ最高の変動振幅を生み出す事ができると報告しています。 大きなRSA振幅は間違いなくこの周波数帯で呼吸することによって引き起こされ、それはわずかの訓練で可能です。実験としてブラウン管上にコンピューターがつくり出した振動を写し出し、被験者(6人の宇宙飛行士)に彼ら自身の生理的活動で同じ振動をつくり出すよう指示をしました。 被験者の心拍数がスクリーン上の一部に示され、彼らはコンピューターがつくり出したペースと同じペースを自分自身の努力でつくり出すよう指示されました。心拍数の低周波数帯と超低周帯の間で刺激目標周波数を変えたところ全ての被験者が、低周波数帯で最大変動と最も安定した目標周波数変動が起こりました。
  
バイオフィードバックトレーニングの手順

まず自分の同調周波数で呼吸します。 最初のステップはRSA変動を最大限に増やす為の訓練です。 最初のセッションでは、被験者に4~7回/分の特定の周波数で呼吸させ、呼吸の深さを出来るだけ一定に保たせます。 その為、目標呼吸数での呼気と吸気のペースが被験者に分かるようコンピューター画面上で上下する光の呼吸ペーサーを用意し呼吸します。 被験者はコンピューター画面上に呼吸ペーサーで示された指定の呼吸数で呼吸をし、光の上下の動きに合わせて呼気と吸気をするようにします。それに続くセッションで被験者はバイオフィードバックを与えられます。 
つまりペースメーカーに応じて呼吸を繰り返すことで最適な呼吸の回数がわかるのです。
この場合、最適な呼吸回数とは最も自律神経機能が向上する回数です。
次のセッションで、被験者は心拍変動を起こす為のバイオフィードバックを直接与えられ、呼吸に関連して起こる心拍変動振幅を増やすよう指示されます。   

RSAフィードバックの臨床的応用:
RSAバイオフィードバックの臨床的効果に関する理論は、同調周波数で呼吸することにより圧受容体反射に大きな変動刺激を常習的に与える練習をし、圧受容体反射を効率的にすることです。
ロシアでこういった研究が進んだのは軍事開発、宇宙開発によります。

極限のストレスの中で業務を遂行する戦闘員や宇宙飛行士は自律神経機能を絶対的に安定させ向上させる必要があったのです。
まさしく格闘家も同じです。

バイオフィードバックと整調呼吸

正確な心拍同調周波数は個々人それぞれに異なります。(その為、個々人に要求される正確な呼吸数を決める為のバイオフィードバックが必要)それはある期間にわたって変えられるためです。 臨床研究から、訓練期間中、変動振幅最大値は減少し、その為人によっては呼吸数の4回/分の近くで最大心拍変動を達成することもあります。 人によってはそんなにゆっくりと呼吸出来きません。 訓練はその為徐々に行わなければならないのです。 バイオフィードバック技術は、個々に適した特定のリズムで呼吸させ、ある期間にわたり呼吸と圧受容反射機能の改善を促すようにするものです。

東洋の呼吸訓練との類似性、武道の神髄

東洋のヨガやキゴンや禅の修業は全てゆっくりとした呼吸を伴います。 これらの技術を修得した者は、自分の体の必要性とペースで呼吸する事を教えますが、RSAバイオフィードバック効果と同様です。  格闘技にかかわらず 東洋のこれらの修行は事実、個人の心拍同調周波数で呼吸する点において、RSAバイオフィードバック効果と同じ効果を生み出しています。 最近の座禅中の禅僧に関する研究で(Lehrer , 1999)、瞑想中の禅僧は心拍変動の低周波帯もしくは超低周波帯で呼吸している事が分かりました。 全ての禅僧はゆっくりとした呼吸周波数でRSA変動を増大させ、特別にトレーニングされた禅僧においては1分間で1回呼吸し変性意識状態に入ることもできます。 この周波数帯は温度調節と交感神経調節を反映するという理論と一致しており、座禅が氷点下以下の状態で行われたにも関わらず、心拍数は上昇し暖かさを感じたとの禅僧の報告がされています。
痛みも感じない、いかなる外的環境も内的環境もコントロールできます。無我の境地です。

格闘家のためには・・・

呼吸と共に心拍数は上がったり下がったりします。 吸気で心拍数は上がり呼気で下がります。 呼吸によって起こる心拍数の変化をRSA(呼吸洞性不整脈)と呼びます。 RSAは、自律神経系全体(心拍数、血圧、呼吸を含む)による調節を助ける為に、体に非常に強力な反射現象を引き起こします。 訓練の目的は、心拍変動の大きさを増大させることです。 心拍変動の増大は、これらの重要な反射運動を訓練し体のコントロールをより効率的に行う助けとなります。 
訓練にあたっては個人のRSAを測定し、呼吸による心拍情報が必要です。 これがRSAフィードバックです。 これにより毎日のストレスへの対応能力が増し、健康改善にもつながります。 これらの反射運動の訓練が、様々な肉体的および感情的障害克服しストレスに耐えうる身体を作り上げるのです。

私のこれまでの研究では腹式呼吸や特殊な呼吸法は不要です。
ゆっくり鼻から息を吸ってゆっくり口から吐くだけです。
一般的には5秒吸って5秒吐く。1分間に6回の呼吸。
厳密にはバイオフィードバックトレーニングシステムであるBiocom社のHeart Trackerというシステムを利用します。

宇宙飛行士や戦闘員のトレーニング同様、将来的には必ずハードウエアである肉体を鍛えるだけでなくソフトウエアである自律神経機能強化が格闘家のトレーニングに組み込まれていくことでしょう。
ロシア科学院医学的生物学的問題研究所(IMBP)が発表した実験では以下のように心拍変動を測定分析し宇宙飛行士の身体管理を行うプロジェクトが進んでいます。

火星への有人宇宙飛行(MARS‐500プロジェクト)に関する地上実験を2009‐2011にかけて行う。
・500日間行われるプロジェクトの期間中、乗組員の健康評価と健康管理システムを含む、人間の生命維持サポートに関する様々な生物医学的テクノロジーのテストを試みる。特別に選ばれた6人の被験者は、火星までの飛行条件を模した隔離された気圧チェンバーにプロジェクトの期間中入れられる。

・MARS‐500プロジェクトの準備段階として、ロシア科学院はカナダのAutosun Health Technologyと北米のBiocom Technologies と共同で、MARS‐500‐Pと呼ばれるパイロットスタディ‐健常人グループの長期モニタリングにおける人間の生体の適応能力と疾病開発のリスクについて‐を行った。

Roman M. Baevsky, PhD
Professor, Head of Research Department for Biocybernetics

宇宙飛行士も格闘家以上に多大なストレス負荷がかかりますが、このストレス緩和のコンディショニングにもバイオフィードバックトレーニングが行われているのです。
特殊な呼吸法は不要です。
5秒吸って5秒吐く、自分の呼吸に意識を集中すれば確実に副交感神経が活性化され緊張の中でリラックスできる身体モードが出来上がります。

宇宙プロジェクト、軍事目的にも応用されている自律神経強化法、呼吸法をぜひ、お試しください。

秋吉耕祐エアナジー 脇阪寿一選手 名城選手

全日本ロードレース2010年総合王者 秋吉耕佑選手 レース前にエアナジーで呼吸法を行う。

エアナジーで呼吸法のトレーニング、コンディショニングを行う HEAT ミドル級王者 K1戦士 ダニロ・ザノリニ選手

自律神経機能検査を受け呼吸法の説明を受ける レーシングドライバー 脇阪寿一選手

プロボクシング世界王者 名城選手の自律神経データサンプリング風景

       

HEATミドル級王者でK1戦士のダニロ・ザノリニ選手も応援に駆けつけた

格闘家の皆さんも命を懸けて闘う自負がある方がほとんどだと思いますが、格闘技以上にリスクが大きく毎年死亡事故が報道されるプロスポーツ、オートレース。

国内最高峰の二輪レースである JSB1000に参戦し奇跡の逆転優勝を果たし 2010年総合王者に輝いた 国内最速ライダー 秋吉耕佑の取り組みをご紹介させていただきます。
他業種のアスリートたちがいかに命と向き合いぎりぎりの世界で闘っているか。

是非、知っていただきたく今回は 命を懸けて走る 最速の男をご参考にしていただけましたら幸いです。
今年、ショッキングなニュースが海外から飛び込んできました。

ご存知の方も多いと思いますが、2010年9月5日、ミサノで開催されたMOTO2第12戦サンマリノグランプリで MOTO2初レースで優勝を飾った富沢祥也選手が200キロを超えるハイスピードの状態でコース側に転倒し後方を走行していたバイクに引かれて死亡するという痛ましい事故が発生しました。19歳の若さで命を失われました。詳細な死因は明らかにされていませんが、治療を担当した医師が記者会見で語ったところによれば、転倒直後に2台のマシンが高速で衝突したことによる大動脈破裂が直接の死因のようです。頭部への外傷はなかったものの首・肩・腰・大腿骨などを骨折していました。

秋吉耕佑( あきよし こうすけ、本名:秋吉 弘亮、1975年1月12日)選手もこれまで走行中の転倒で命を失いかけたり、脱臼、骨折を幾度も繰り返していました。
秋吉選手は富沢選手の訃報を聞いて改めてこのスポーツのリスクを認識しました。
しかし、彼は富沢選手の無念を自らのエネルギーに変え彼の意志を受け継ぐべく闘いに挑む決意をしました。

2009年にも転倒で足の指の骨を骨折したり右肩を脱臼する重傷を負いましたが、完全に治癒しない状況でレースに復帰。
満身創痍でいつもライディングしていたのです。
しかし、2009年、私が彼のトレーナーを務めるようになってから コンディショニングと身体のメンテナンスケアの重要性を理解し定期的に指導をさせていただくようになって 意識も身体も大きく変化していきました。
以前のコラムでもご紹介したように2009年の鈴鹿8時間耐久ロードレースでは2度の転倒にもかかわらず最速ラップを連発し最下位から9位。
最後まであきらめない最速の走りが秋吉耕佑の信条です。

2009年は、ポールポジションを獲得し普通に走れば確実に優勝と評価されていました。
しかし、プロとして彼は普通に走ることは考えていませんでした。
誰よりも速く、素晴らしいライディングを見せる。プロアスリートとしてのパフォーマンスです。

勝利を確信して判定勝利を狙い 打ち合いを避けるのではなくKO勝利を狙ってノーガードで目いっぱい打ち合う。 格闘家で言えば、格闘家の最高のパフォーマンスを見せるKOメーカーです。
転倒ギリギリの体勢で走り抜ける。最速のためにはいかなるリスクも厭わない。
まさしく真の格闘家の神髄を持ったレーシングライダーです。秋吉選手はMOTOGPマシーンの開発ライダーも務めています。モンスターマシーン開発にはテスト走行では時速350キロを超える速度での走行を行いマシーンの調整を行います。つまり安全かどうかまだわからないマシーンをぎりぎりの状態まで操作する大変危険な業務を行いながらレースへ参戦しています。
身体も精神も大きく消耗するプロ業務です。

今季は腰椎圧迫骨折の大事故によるリタイアのMOTOGP参戦中の青山選手の代役としてMOTOGPへも2戦参戦しました。(MOTOGPは二輪レース世界最高峰、四輪レースでたとえるなら F1です。)
闘うのは格闘家と同じように相手だけでなく自分です。最後は自分との闘いになります。
大けがをしても黙って闘う。怪我を言い訳にしない。痛みやハンディをエネルギーに変えて最高のパフォーマンスを見せつける。

本当にカッコイイスポーツだと思います。
広大なサーキットを時速300キロで駆け抜ける。初めて目の前で観戦した時は、その迫力とリスクに本当に驚きました。
モータースポーツでもライダーは際立ったバランス感覚と感性が要求されます。
2010年 昨年の雪辱を誓った秋吉耕佑選手。英国で活躍するジョナサン・レイ選手とのコンビでタイトル奪取を目指しました。

2010年も2009年同様 優勝候補筆頭。
しかし、ペアライダーのジョナサン・レイ選手が転倒。
マシーンも修理に時間がかかり大きく出遅れました。
しかし、この後は2009年の再現でした。
ファーステストラップをたたき出し、トップを独走するチームライダーを何度も追い抜かす最高のパフォーマンス。
何と、転倒したにも関わらず3位入賞。
転倒しても表彰台というありえない奇跡を起こしました。
しかし、2010年 圧巻だったのは国内最高峰二輪レースJSB1000での鈴鹿最終戦でした。* JSB1000とは、全日本ロードレース選手権の最高峰のカテゴリ。JAPAN SUPER BIKE(全日本スーパーバイク)の頭文字を取ってJSBとしています。そこで走るバイク(オートバイ)は1000ccなのでJSB1000と言います。全日本ロードレース選手権のトップカテゴリだけあってレース内容もレベルが高いものとなっていて、予選から熱いバトルが繰り広げられます。ポールシッターが何度も入れ替わることも珍しくありません。日本で一番売れているスーパースポーツのバイクが勢ぞろいしているロードレースでもあり、見ていて興奮する人が多いと思います。

最速ライダーの称号をいつも手にしている秋吉耕佑選手は2007年鈴鹿8時間耐久ロードレースの優勝を最後にビッグタイトルからは遠ざかっています。
今季はJSB1000にフル参戦しどうしてもこのタイトル獲得を願っていました。
年始には、グアムで 仲田健トレーナー(石川遼選手専属トレーナー)と阪神タイガース 桧山進次郎選手が主催する自主トレ合宿に参加しました。

2009年GT王者 レーシングドライバー 脇阪寿一選手、プロボクシング元世界王者 名城信夫選手、ほか、有名プロゴルファーなど国内のトップアスリートが最も多く集う 合宿に参加しトレーニングを敢行。
また、新しいコンディショニング法としてパワープレートを利用して身体バランスを整えました。
レース前にはエアナジーで自律神経機能を向上させ、ストレッチを全くやめて身体がよりスムーズに動くように最新のトレーニング法を導入しました。
セル・トレーニング(CELL TRAINNING)です。

これまでのトレーニングはウエイトトレーニング、加圧トレーニング、有酸素トレーニングなど運動生理学上、組織や器官を主に対象としたトレーニングでしたが、セル・トレーニングは細胞レベルの賦活を考慮に入れた新しいトレーニングです。
このトレーニングは、おそらく世界のスポーツのトレーニング理論を大きく変えることになると確信しております。

私が順天堂大学大学院医学研究科で指導教授である 小林弘幸教授と共同で独自に開発した身体に優しく身体能力を賦活できるこのセル・トレーニングを秋吉耕佑選手が実践して肉体改造を行いました。
セル・トレーニングの特徴は
1:ストレッチ
2:PNF
3:スロートレーニング
4:呼吸法(自律神経機能向上)
5:脳、神経、筋肉 賦活
6:温熱刺激

1から5を温熱刺激も加えて同時に行うエクササイズです。
また、サーモバンドという特殊な温熱バンドを使用して筋肉を温め血流を増やして効果的にトレーニングを行います。このため血流のみならず代謝も向上して細胞機能が確実に向上します。
順天堂大学医学部での 小林弘幸総合診療科の教授らの研究では40℃の温度での温熱効果が最も血流が増加し過度の過熱は逆に血流を阻害するといった実験結果も出ています。
つまり細胞機能を適度な温熱を加え賦活させるトレーニンであり 筋肉だけ、靭帯だけ、神経機能だけといった組織や器官のみを強化するのではなく細胞レベルで確実にこれらの部分が連動してミクロからマクロまでパワーアップできるこれまでにないトレーニング概念です。
アスリートはハードである肉体、特に筋力に重視を置いてトレーニングを行いますが、競技パフォーマンスを向上させるには筋力だけでは不十分です。

アスリートにとってソフトの部分である自律神経機能向上が必須でありこれと連動する心肺機能や脳が支配し神経、筋肉を連動させコントロールする機能が絶対に必要になってきます。
究極のトレーニングが セル・トレーニングなのです。
詳細は別号で紹介させていただきます。
今季からセル・トレーニングを導入した秋吉選手は2010年10月31日 奇跡を起こしました。
鈴鹿サーキットで開催された最終戦 2戦
これまでの闘いはタイヤの選択ミスやマシーンの電気系統の不調もあって身体はいつも最高のコンディションにも関わらず結果が伴っていませんでした。
最終戦直前ランキング4位で総合王者は困難と周囲が考えていた矢先、ランキングトップ 2008,2009年総合王者の 中須賀選手が転倒、ポイント喪失。

秋吉選手はいずれも予選トップタイムでポールポジション、決勝でも二レース目はウエットコンディションの中、ぶっちぎりの優勝。2戦連続完全優勝を果たしました。
見事、二戦連続優勝の大逆転でJSB1000 年間総合王者のタイトルを獲得しました。
最後まであきらめない最速の走りにこだわった結果でした。いつもKO勝利にこだわって満身創痍になって逆転KO。
やっと報われました。関係者は本人も含め涙で感激を味わったそうです。
おめでとうございます。
最後まであきらめない、気迫と心が必ず奇跡を生むと確信しました。
格闘家の皆さんも機会がありましたらお近くのサーキットまでぜひ、足を運んで二輪レースを観戦してみてください。きっと、闘うモチベーションがあがるでしょう。

HEATミドル級王者でK1戦士のダニロ・ザノリニ選手も応援に駆けつけた

JSB1000 鈴鹿戦で圧倒的な走りで優勝

JSB1000最終戦 直前の 秋吉耕佑選手

マシーンと一体化した最速300キロの走り

       

レース前コンディショニング

レース前にエアナジーでコンディショニングを行う秋吉耕佑選手

極限まで進化した究極の最速マシーン

国内最高峰二輪レースJSB1000 2010年 総合王者 秋吉耕佑選手


秋吉 耕佑  プロフィール

命ギリギリの走りのパフォーマンスを魅せる 国内最速ライダーとして最も注目を集めるライダー。
トップアスリート 株式会社 取締役
ホンダレーシング所属(2010年)世界最高峰二輪レースMoto GP開発ライダーとしてレブソルホンダのマシーンを開発中。
トップアスリート 株式会社 取締役として現役ライダーにして国内のトップアスリート支援、セル・トレーニング(Cell Trainig)など科学トレーニング開発にも務める。
自ら最先端の科学トレーニングを導入して肉体、自律神経の進化を表現しライディングパフォーマンスを高めている。

2007年、鈴鹿8時間耐久ロードレース 優勝。
2008年には日本ロードレースが行われる公式サーキットのすべてのコースレコードを更新。
2009年、鈴鹿8時間耐久ロードレース予選、トップテントライアルで唯一の2分7秒台の最速タイムでポールポジション獲得。
2010年、鈴鹿8時間耐久ロードレース パートナーの転倒にかかわらず驚異的な最速ラップでの追い上げで3位表彰台に、ロードレース世界選手権MotoGPもスポット参戦、世界に通用するトップライダーとして大きな注目を集めている。
2009年、2010年
鈴鹿8時間耐久ロードレースファステストラップ(最速ラップ)記録保持者
国内最高峰二輪レース JSB 1000 2010年総合王者。



スポーツケアとしての鍼灸とは?

フルコンタクトKARATE 12月号では、スポーツケアとしてのマッサージについて紹介させていただきました。続いて今回は、スポーツケアとしての鍼灸を紹介します。

マッサージについての紹介では出来るだけ解りやすくなるよう心がけておりましたが、鍼灸となるとなんとなく難しく、中国4000年の歴史などなど・・・、マッサージ以上に奥が深く解りにくく、さらに身体に鍼を刺すなんてとても痛そうで、おっかなくて・・・なんとなく敬遠してしまう。というような意見をよく聞きます。みなさんも「鍼灸」と聞くと、痛いのでは?熱いのでは?など、あまり良いイメージをお持ちでは無い方が多いのではと思いますが、

実は、鍼は痛く無いのです。また、お灸も熱いことはありません。お爺ちゃんやお婆ちゃんの背中のお灸の痕を見た経験がある方もいらっしゃると思いますが、旧来の施灸方法(お灸のやり方)では、実際に熱く皮膚に1cm弱の火傷ができるほどの施術もありました。しかし現在は、インフォームドコンセント(治療法や結果などを十分に説明を受けた上での合意)やおもてなしの時代です。火傷の痕が残るようなお灸を据えたら訴訟問題にもなります。以前の様な熱いやり方のお灸は殆ど無く、ほんわかと温かく気持ちが良い感じのお灸が一般的です。

こんな鍼灸のいろいろについて、大まかに理解できるとスポーツケアとしての鍼灸がみえて来ますので、なるべく簡単に紹介したいと思います。

まず始めに鍼灸とは、鍼治療と灸治療を併せた表現方法で、厳密には鍼師、灸師という2種類の国家資格に区別される2つの治療方法を指す言葉です。
今まで多くの場合に、鍼治療と灸治療を併用して一つの治療として行うことが多く一般的に合わせて表現されることが多かったようです。

では鍼治療とは?
専用の鍼(0.1~0.3mmの物が多い)を身体に直接刺したり接触させて刺激を行う方法で、深さとして1mm弱から15cm前後の鍼を身体に刺入して反応による改善を目的にした方法です。
また、灸治療は?
皮膚の上でもぐさを燃やして温熱効果による改善を図る治療法です。もぐさの大きさは、糸と同じぐらいの細かいものから、米粒の半分、米粒ほど、などがあり、直接皮膚に置く物と、台座の上に置くものとに分けられます。最近では、直接置くのは火傷の原因になってしまうために台座の上に置くスタイル(せんねん灸)が多く普及しています。燃焼温度は50℃前後~80℃ぐらいが主流です。

基本的に鍼・灸は、2500~3000年前から継続される治療経験から生まれた伝統療法(経験療法)であり今も尚施術者独自の治療法が生み出され続けている貴重で有効な治療方法で、道具に関しても上記以外のものも存在するのが事実です。
世界的な鍼灸治療の始まりはとても古く3000年以上の歴史があり、日本における鍼灸治療は飛鳥時代(約1500年前)や奈良時代(約1300年前)から発展したとの記録が残されています。

現在、鍼灸治療は民間医療に属し、西洋医学ではなく東洋医学に分類されています。西洋医学とは、医師の診察によって病気が診断され、薬や手術を用いて病気そのものを改善する治療法に対して、東洋医学は人間本来の自然治癒力や免疫力によって身体全体を改善する治療法で、予防医学や代替医療とも言われている。日本における治療費の面では、一般的に健康保険が適応される西洋医学に対して、鍼灸治療は健康保険が効かないと思われがちですが、1神経痛、2リウマチ、3頚腕症候群、4五十肩、5腰痛症、6頸椎捻挫後遺症の症状のみ、医師の同意書に基づいて保険での治療が可能な状況で、その他の症状は保険適応外の実費診療で行われています。

現在日本で使われている鍼の種類は、大きく分けて2通り、日本鍼と中国鍼があります。日本鍼は、細く短く先端も刺入し易く加工されて、極力痛くない刺激で施術出来るよう作られているのに対して、中国鍼は、太く長く大きな刺激を与える目的で作られています。殆どの鍼灸師が感染予防の目的から使い捨ての日本鍼を使用するようになってきています。

次に、鍼灸にはどの様な効果があるのでしょうか?

整形外科系疾患・・・肩こり、腰痛、捻挫など
神経系系疾患・・・頭痛、神経痛、自律神経失調症など
循環器系疾患・・・高血圧症、不整脈、狭心症など
呼吸器系疾患・・・風邪、せき、気管支喘息など
消化器系疾患・・・胃下垂、胃炎、食欲不振など
皮膚科系疾患・・・じんま疹、ヘルペスなど
産婦人科系疾患・・・生理痛、不妊症、逆子など
内分泌系疾患・・・肥満症、糖尿病など
泌尿器系疾患・・・尿失禁、前立腺炎など
眼科系疾患・・・眼精疲労、白内障など
小児科系疾患・・・夜泣き、おたふくかぜ、小児喘息など
耳鼻咽喉科系疾患・・・耳鳴り、口内炎、咽頭炎など
上記はほんの一握りで、現在では、その他、多くの症状に有効であると認められております。

実際に麻酔の代わりに鍼(鍼麻酔)をして身体にメスを入れる方法が行われていたり(その場合は薬剤による全身麻酔ではないので手術中に患者さん自信も会話をする事が出来るそうです)、癌の治療に鍼が使われたり、一瞬にして人を気絶させてしまう先生もいらっしゃると聞いています。治療を受ける場合は、それぞれのスタイルがあり得手・不得手があることを理解して施術を受けていただく事をお奨めいたします。

では、なぜこのような沢山の効果が期待できるのか?
調整作用・・・組織・器官に一定の刺激を与えてその機能を調整する作用があり、鎮静作用と興奮作用がある。
誘導作用・・・治療したその部の血管に影響を及ぼし充血を起こし患部・健部の血流を調整する作用がある。
反射作用・・・生体の有する反射機転を介して各機能を亢進あるいは抑制する作用がある。
消炎・防衛作用・・・白血球は増加し、リンパ系は賦活され免疫力が高まり炎症は静まる。又、抵抗力も増加。
変調作用・・・自律神経の調整やアレルギー体質を改善して体質を強壮にする作用がある。
このように、人間が本来持っているあらゆる機能を呼び覚ます効果があります。

また、鍼灸の概要として忘れてはならないのが経穴「ツボ」ではないでしょうか。
一般的に鍼灸といえば「ツボ」治療との連想が沸く方も多いと思います。学生時代はこのツボを覚えるのに替え歌を使ったりお風呂に潜って酸欠になりながら必死に暗記したり(先輩から伝授された方法で、医学的根拠は不明?)と、とても苦労した記憶があります。実際に、鍼灸の治療部位や箇所は決まっていると思われがちですが、厳密には決まっていません。というか、その人その人のそのときの症状に併せて取穴(ツボを決める)して進めていく治療法なので、同じ頭痛でも必ず同じツボを使って治療するとは限らないし、同じ症状でも次回も同じツボに治療をするとも限りません。

次に、ツボの数はどれだけあるの?という質問を良く受けます。その、ツボの数ですが、WHO(世界保険機構)では全身で361穴のツボがあると認定されており、全部で14の経絡(電車でいう線路)に分かれています。人の身体に何らかの症状(病気)が起こるとこの経絡上に反応点として経穴の異常ををきたした部位が現れます。この反応を見つけて経穴を特定して必要な治療を行うことが鍼灸治療の方法です。なので、腰が痛くても足先のツボに鍼やお灸をしたり、肩が痛くても背中にお灸をしたりと全身いろいろな部位を使って最良と考えられる経穴を選択します。さらに以前には、鍼灸師より位が高い将軍の姫君などを治療しないといけないときに、裸にして治療するわけにもいかず、膝下・肘下のみのツボを使って全身の治療が出来るように考えられたツボ(要穴)なども発達した治療法です。
さらに治療の回数ですが、鍼灸ともに毎日続けて治療しても大丈夫で、治療頻度はあまり気にする必要はありません。もちろん1度に必要以上の治療は鍼灸師自体が行いませんので、症状や状態の変化に併せて治療回数などを決めていけば良いと思います。大まかに判断するとすれば、急性症状は短期間の間に続けて行うことが望ましく、慢性症状は、1週間に1~2回ぐらいを継続して行うことが良く、体質改善などは半年から1年以上の継続が大きな効果となって現れてきます。その症状に合わせて判断されることをお奨めします。

では、やっと本題になりますが、スポーツケアとしての鍼灸を説明したいと思います。一言で言えば、おおよそあらゆるスポーツ障害やコンディショニング、疲労回復、パフォーマンスアップに鍼灸治療は適しており治療の仕方も選手それぞれに合った最良の方法で行われていきます。そのため、この紙面をもって大きくスポーツケアとしての鍼灸治療は○○と紹介することは誤解を招くおそれがあると判断しました。ただ、ひとつ問題とするならば、これはスポーツケアにおけるマッサージ(フルコンタクトKARATE12月号)でもお伝えしておりますが、鍼灸師のなかでもスポーツを知って、選手の身体を知って、トレーニングを知って、施術出来る鍼灸師は限られています。本人がスポーツに携わっていたとか、スポーツが好きで一生懸命勉強したとか、スポーツ選手のケアをしたことがあるなど、スポーツに携わったことがある治療院や施術者の治療を受けることこそが、スポーツケアとしての鍼灸では一番大切なことだと思います。さらに、ここで大切なことが東洋医学の考え方で、一つの症状に対して決定された治療法がないとの理解から、その状態を把握して最適な治療を行います。したがって、上記に挙げたスポーツに関係している鍼灸師だけでなく、東洋医学及び鍼灸をしっかり捉えてその状態を判断できる鍼灸師であれば、スポーツ自体を知らなくても身体としてのコンディショニングや治療、疲労回復やパフォーマンスアップなど、スポーツに必要な施術ができると思います。

本題がとても短く恐縮ですが、大筋を解っていただくことがスポーツケアにおける鍼灸の総論となるためこのように紹介をさせていただきました。
スポーツケアにおける鍼灸をまとめてみますと、
① 鍼灸治療はスポーツにおける不特定多数の症状や期待に応えることが充分可能な治療法です。
② 特にスポーツに関わりのある鍼灸院及び、施術者の治療を受けることが肝心です。
③ また、スポーツに関わりが無くても、東洋医学の視点からしっかり症状や状態を判断(診断・弁証)できる鍼灸師であればアスリートのケアを任せても大丈夫です。
④ アスリートケアの経験ある信頼できる施術者にご相談されることをお奨めいたします。

最後になりましたが、トレーニングにより最高のパフォーマンスを発揮するためにはクオリティーの高いトレーニングをやり続けるだけでなく、トレーニングで傷ついた身体をいたわり、休養・栄養を確実に行う事が何よりも大切です。それぞれ地元で身近に身体のことを相談できる所をぜひ見つけてください。また、困ったことなどありましたらいつでもご相談ください。


柴田康博トレーナー プロフィール

■株式会社 メディカルケア 代表取締役
■『まごのて』スポーツマッサージ・鍼灸接骨院 院長
■(財)JOC日本オリンピック委員会強化スタッフトレーナー(1996年アトランタオリンピック)
■JRA日本中央競馬会オフィシャルトレーナー
■さかえクリニックスポーツ診療部 メディカルトレーナー
トップアスリート株式会社 スーパーバイザー
■ 国内最高峰ロードレース JSB1000 2010総合王者 秋吉耕佑 専属メディカルトレーナー

競技歴
■1978年 第25回 全日本都道府県ショートトラックスピードスケート選手権大会 最年少出場
■1986年 第33回 全日本都道府県ショートトラックスピードスケート選手権大会 1000M 優勝
■1986年 第10回 全日本選手権大会 500M 優勝
■1987年 アジア競技大会 冬季大会 (大韓民国 ソウル大会) 日本代表
■1987年 第34回 全日本都道府県ショートトラックスピードスケート選手権大会 500M 優勝
など日本を代表するアスリートとして活躍、引退後 K1戦士、プロボクサー、レーシングライダーなど多くのプロアスリート、オリンピック日本代表アスリートをケアするメディカルトレーナーとして活躍。国内で最も多くのトップアスリートをケアする鍼灸師の一人。

2010.11



スポーツケアとしてのマッサージとは?


 

皆さんは日々トレーニングに励み心身共に鍛えていると思いますが、実際にトレーニングで疲労した身体のケアはどのようしているのでしょうか?

一般スポーツ、競技スポーツ、プロスポーツ等、数多くのスポーツシーンを見ているなかで「優秀な選手になればなるほど身体への意識が高くコンディショニングやトリートメントを継続的行っている」ということが言えると思います。

逆に、たまに練習、週末だけ運動、など普段から身体を使う事が少ない人や、スポーツ経験の浅い人ほど、本来、一番ケアや準備運動などが必要だと思うのですが、いきなり無理して過負荷なトレーニングを行ってみたり、それにも関わらずクーリングダウン等はろくにせず、ケアには全く無頓着な方々が多く見うけられ残念に思います。

トップアスリートが、ウォーミングアップやクールダウン、日々のコンディショニングを丹念に行っているのに慣れないスポーツ愛好家の方々はいきなり運動を初めて、突然終わり、トレーニング後には喉ごし爽やかなビールで乾杯!など、している光景は皆さんもよくご覧になっているのではないでしょうか。これではトレーニングの結果や効果を期待すると言うよりは、怪我をするため、疲労するため、にトレーニングを行っている様なものです。

みなさんも忙しい中でトレーニングを行っていると思いますが、トレーニングだけでなく休養・栄養・睡眠などとのバランスも考えた生活スタイルで、最大のトレーニング効果を獲得してほしいと思います。今日はそんな中で、一般的によくあるスポーツケアとしてのマッサージについてご説明いたします。

実際の臨床現場で数多くのトップアスリートや格闘家をケアしています さかえクリニックスポーツ診療部  鍼灸師でもある柴田康博メディカルトレーナーに解説していただきます。

まず結論からお伝えしますと、怪我や病気で安静を保つ必要がある人から一般の人、はたまたプロ選手に至るまでマッサージは酷使した身体に喜びや安らぎなどの感覚を与えるだけでなく予想以上に遙かに大きなものを与えてくれます。つまり、身体と、知性と、精神を確実に若返らせて生きる活力を与えてくれる。それがマッサージ本来の効果であり、だからこそ全世界に広く伝わり一般的ケアとしてここまで長く普及した要因であるといえるでしょう。

特にその中でも、身体を酷使するみなさんにとって可能性が高く有効なマッサージは【スポーツマッサージ】と言われるメソッドで、通常のマッサージが皮膚及び筋肉の表面に重点をおいて施術されるのに対して、スポーツマッサージはその競技を行う上でトータル的なパフォーマンスの向上や怪我の予防、疲労の回復などを目的にしており、施術も身体全体から深部の筋肉一つ一つまでをターゲットにして施術を行ったり、各競技のフォームや特性に合わせてコンディショニングを行うなど、通常のマッサージとは目的も施術も効果も違うマッサージメソッドといえ、静的トレーニング(休養・超回復など)として身体強化をしていく上で、上手に取り入れることによりパフォーマンスアップや疲労回復、怪我の予防など、総合的なコンディショニング効果が期待できます。

「スポーツマッサージメソッド」とは、一定の理論による考え方や施術方法が確立・統一された治療スキルの集合体では無く、古く昔から師匠から弟子へとそれぞれ施術者レベルで受け継がれた技術や理論を基本にして現在に至った個別民間療法といっても良く、「スポーツマッサージ」の名称で明確な学術定義がされている物では無いことを付け加えておきます。ちなみに、「マッサージ」という手技については、医療マッサージ、保険マッサージなど、詳細まで学術定義がされております。

ここで、スポーツマッサージの具体的な効果として皆様に関わりが深いものを幾つか挙げてみます。

・ 肩こり、腰痛、筋肉疲労を取り除き疲労回復できる(痛みは軽減して、怪我は早く回復する)
・ 関節の可動域を改善する、拡大する
・ 柔軟性や弾力性が増して、動きやすくなる
・ 血液、リンパ液の流れが良くなり回復力や免疫力が高まる
・ 身体のパフォーマンスが高くなり、怪我や故障を予防する
・ 精神疲労を取り除き、自律神経機能を整える
・ 内蔵機能を活発にし身体の中からも体調を整え元気になる
・ 新陳代謝を活発にし身体全体が若返る


などがあり、これらの効果は数多い効果の一部に過ぎず、循環器系、呼吸器系、神経系、皮膚、筋肉、関節、内臓など、全身トータル的に、様々な効果が期待できるものになります。さらに、ダイエット効果などもあるぐらいです。

マッサージ(massaji)という言葉はフランス語で、語源はアラビア語の手、おす、こねる等と言われています。元来人類は、痛いところがあれば本能的にそこを手で押さえたり揉んだりして痛みを和らげることがありますが、この自然発生的な手法が医学の進歩に伴って体系化されたものが現在のマッサージとなっています。マッサージを生体に行うことで身体の変調を整え、健康を保ち、身体機能を活発増進させる効果があり、求心性(心臓に向かって行う)の手技により血液、リンパ液の循環が良くなり新陳代謝は活発になり、その結果、各組織に栄養が行き届き、全身機能が盛んになり、抵抗力が強くなります。また、触圧刺激は自律神経を調整したり、知覚神経を介して内臓機能にも影響を与え、さらに生体反応によるホルモン分泌にも影響を及ぼすことが明らかにされており、種々様々な症状に有効であることが実証されています。

歴史としては、古く中国に於ける最も初期の文献「黄帝内経素門」(紀元前2500年頃)の中で、直接的な治療効果が言及されていたり、ギリシャの医聖ヒポクラテス(紀元前4、5世紀)は、「医師たるものは医術についてのあらゆる学理と共に、マッサージを習得しなければならない」と説いたことが伝えられ医療の中でのマッサージが重要視されていたことが解ります。その後、明治20年に、当時陸軍軍医部の軍医官がフランスに於けるマッサージを学び当時、広島博愛病院・外科診療にて患者さんに対する治療目的で活用したのが日本に於ける医療マッサージの始まりとなりました。現在では、日本を始め多くの世界的トップアスリートなどがマッサージの有効性や必要性を自らの身体で経験、証明し、より一層期待に応える施術へとアスリートと共に日々継続進化しているメソッドといえるでしょう。

そんな中、街では多くの「マッサージ」や「スポーツマッサージ」の看板を見つけることが出来るようになり、多くの方がケアを受けられるようになってきましたが、一般的に同じに見える「マッサージ」・「スポーツマッサージ」の看板でも、施術所(サウナ・サロン・民間資格)、治療院(国家資格・医療保険取り扱い)、施術者スキル(知識・経験)などにより内容や効果が全く違う状況が現在の実情であり、高いパフォーマンスが要求されるアスリートや愛好家の皆さんなどは、施術を受ける医療機関や施術所、担当者などを事前に検討してから施術を受ける必要があると思います。実際に施術をしている私でさえ、現状の混乱したマッサージ事情の全把握は難しく、そんな中、施術を受ける場合の大きな判断材料にしているのが、①実際に施術を受けた人の感想・口コミ、②施術者の経歴、実績、臨床数、③おもてなしの心(人間性)、④施術者・施術所の全体像(総合点)、⑤宣伝広告の量、の5点となります。※現状、施術価格も混沌としており高ければ良いと言う訳ではありませんが、あまり安いところはアスリートのコンディショニングには向かないと思いますので避けた方が無難です。補足説明として③・④は、治療家には多いのですが、痛みを治す疾病観察にフォーカスし過ぎる傾向があり、痛みや症状ばかりに気を取られ患者さんが一人の人間だという事を忘れてしまう。すると、患部治療は進むが私のことはほったらかし状態となり全体像を見失います。結果として、良くなった気になるが治らない。それでいて施術者ばかり満足している、こんなアベコベな状態に陥ります。空手においても強い突きが出せるのは下半身が安定して重心、体軸にブレが無くなることにより出来ることであり、拳ばかりいくら鍛えても何の意味もないのと同じ状態になってしまう治療家が多いので、あえて、おもてなしの心と全体像を判断基準に入れています。⑤の宣伝広告の量に関しては、治療院や施術所の裏事情を考えると理解しやすいのですが、運営経費のほとんどが施術者の人件費に消えて行きます。特に日本は人件費が高いです。そんな業界なので広告宣伝には多くの費用が掛けられないのが通常で、やたら目ったら宣伝しているところは薄利多売のスタイルが多く優秀な施術者が育つ環境がありませんし、優秀な施術者がいるところであれば、一時間に出来る人数は限られてしまうので広告ばかり出している訳にもいきません。来ていただいてもキャパオーバーになってしまいます。こんな些細な事なども、間違った施術所を選ぶ事無く目的に合った施術所や施術者選びの参考にしていただければ幸いです。

大まかに、スポーツケアとしてのマッサージをお伝えいたしましたが何よりも重要なことは、一つです。
【1オンスの予防は1ポンドの価値がある】という格言通り、スポーツに対する身体の管理というものは怪我や痛みでトレーニングを中止または軽減することなく、可能ならば、手術や薬も使うことなくトレーニングを継続し続けらるコンディショニングを行うこと!が、大切です。怪我や故障、未病を防ぎ、スポーツマッサージの予防効果を充分有効活用していただくことに尽きると思います。

なお、スポーツマッサージは2WAY(施術者とアスリート)で施術者に行ってもらうのが主流ですが、1WAY(自分自身)でセルフマッサージを行うことも効果があり、施術を受けるのと同じようにとても重要になります。自分でも出来る簡単なセルフマッサージをお伝えいたしますのでトレーニングの前後や夜、ベッドに入る前などに是非実践してみてください。私の今までの経験上、難しい事をお伝えてもなかなか継続に繋がりませんので、私が知る一番簡単な方法であり、効果的な方法をお伝えします。

その簡単な方法とは?、とにかく全身くまなくさすることです。そこでの大きなポイントとして、身体の先端部分から心臓に向かってさすって行く。次に太ももの付け根、脇の下、耳の下をめがけてさすって行く。ココにはそれぞれリンパ節があります。皮膚や筋肉に刺激を入れながらリンパ節に向かって施術していく事で、身体の中からも外からもアプローチする事に繋がります。簡単すぎて困ってしまうかも知れませんが是非一度お試しください。


柴田康博トレーナー プロフィール
■株式会社 メディカルケア 代表取締役
■『まごのて』スポーツマッサージ・鍼灸接骨院 院長
■(財)JOC日本オリンピック委員会強化スタッフトレーナー(1996年アトランタオリンピック)
■JRA日本中央競馬会オフィシャルトレーナー
■さかえクリニックスポーツ診療部 メディカルトレーナー
トップアスリート株式会社 専属トレーナー

競技歴
■1978年 第25回 全日本都道府県ショートトラックスピードスケート選手権大会 最年少出場
■1986年 第33回 全日本都道府県ショートトラックスピードスケート選手権大会 1000M 優勝
■1986年 第10回 全日本選手権大会 500M 優勝
■1987年 アジア競技大会 冬季大会 (大韓民国 ソウル大会) 日本代表
■1987年 第34回 全日本都道府県ショートトラックスピードスケート選手権大会 500M 優勝
■1988年 国際ショートトラックスピードスケート競技会 帝産カップ 日本代表
■1989年 第13回 全日本選手権大会 500M 3位、

(2010.10)



 
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